ヤンデレメドゥーサ「これは私からの恩返し…♡」

こんな暗がりの街はずれの公園で、独りぼっち……


しかも、そんなに息を切らせて。


あなた、どうしたの?


逃げてきた?


あら、こんな危ない所よりも危険なものがあったの?


んふふ……そうよね、人間のいるところが、


必ず安全だなんて、おかしいものね。


それで、どんなものから逃げてきたの?


ふーん、頭がおかしい女、から?


んふふ、あなた、モテるのね。


そんなことを言ってる場合じゃない?


監禁されて、頭を弄られそうに?


あらら、それは災難ね。


でも、どうして逃げられたのかしら?


わかんないって、それはそれでどうなのかしら。


手錠が石みたいに脆くなって、なんとか抜け出せた?


あら……それはよかったじゃない。


あなたがここまで来れて、私と出会えたのも何かの運命、じゃないかしら?


偶然? んふふ、おかしなことを言うのね、あなたも。


私のこと……知らない?


そう……もっとよく、私の目、見てくれない?


綺麗でしょ……吸い込まれそうで……


身体も、だんだん、動かなくなる……


あら、どうしたの?


身体が急に動かなくなったって顔、してるわよ。


ほら、ちょっとだけ首が動くようにしてあげるから、自分の手足、見てみなさいな。


どう?


その壊してきた手錠みたいに、石になってるでしょ?


無理に逃げようとしたら、だめよ?


その手足が砕けたら、私だって二度と再生してあげられなくなっちゃう……


ほら、ベンチに横になりましょ?


その方が、手足に余計な負担がかからなくていいと思うわよ?


……よしよし、いい子、いい子……


うふふ……メドゥーサって、わかるわよね?


髪が、こぉーんな風に、小さい蛇たちで~……


目を見ると、恐怖で石化しちゃうってやつ……


別にあれ、怖がってくれなくても、自由に石化出来ちゃうのよ?


俺を食べる気なのかって……


そんなわけないじゃない、んふふ。


あっ、でも~……


別の意味で、食べちゃうかも♡


んふふっ。


なんで俺なんだって……質問が多いわね。


でも、答えてあげる……あなたは、私の愛しい人なんだから。


あら、すごく困惑した顔。


やっぱり、思い出してくれないのね……


お姉さん、少し悲しいわ。


そうね、昔話をしてあげる。


昔々、あるところに、女の子が一人……


自分の正体は隠していたけれど、


慎ましやかに、幸せに暮らしていました。


だけれど、理由もなく他の女の子の反感を買った女の子は、


それそれは惨めな、いじめに遭いました。


それを、小さいけれど、勇敢な男の子が助けてくれて、


名前も言わずに立ち去り、そして女の子は解放されて、


ハッピーエンド……


そこで二人が結ばれれば、幸せは永遠に続くのだけれどね。


でも、女の子は男の子を探し続けて有余年……。


やっと探し当てたその人は、


他の女の子と幸せに暮らしてた……


そ、それがさっきまでのあなた。


私は、てっきり、私のことが好きで、


助けてくれたのかと思ってた……。


でも、あなたは他の女の子にも……。


だから、私が助けてあげたの。


これは、私からの恩返し。


でも……


何も言わずに去って行った分のお返しも、してもらいたいわ。


だから、私にもらう権利があるわよね。


もう…いやだいやだって、


そんなにうるさくしてると、


お口も、石にしちゃうわよ?


……はい、いい子、いい子♪


安心して?


これから連れてく私の家でも、


全身を石にしたりはしないから。


そしたら、あなたのぬくもりとか、柔らかくて優しい部分が無くなっちゃうでしょ?


でも、おイタをしちゃったときには、


石にしなくちゃいけないところも、どんどん増えちゃうかも……


んふふ、びくってしてる……可愛い♪


その表情、ずっと、ずぅーっと、探してきた甲斐があったわ……


それに、これからは、いろんなカオを見せてくれるわよね?


そ・う・よ・ね?


んふふっ……


これからは、私が守ってあげる……可愛がってあげる……愛してあげる……。


かつての恩返しに、ね♪

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