ヤンデレお嬢様「あなたは私のコレクション」

あら、ごきげんよう。息を切らしているようだけれど、大丈夫かしら。


あら、そんなキョトンとして、どうしたの?


なんで家から出てくる時間が分かったのか、ですって?


それは……愛の為せる技ですわ♡


うふふっ……まぁ、いいではありませんの。


でも……まぁ検討をつけるとするなら、


目覚ましも鳴らず、ご家族もやっとこの時間になって起こしてきた……ということかしら?


うふふ、そんな怖い顔をなさらないで?


こんなの、ただのテンプレのような遅刻の仕方じゃありませんの?


ほら、そんなことより、早くしないと学校に遅刻してしまいますわ?


私と、この車で登校いたしましょ?


この時間では、自転車ではギリギリ遅刻するかどうか……。


でしたら、車の方が確実でしてよ?


どう? 私と一緒に来るか、


それとも遅刻して怒られるか……


うふふっ、素直なあなた、好きですわ。


遅刻するのはめんどうだーって、おっしゃってましたものね。


……え? なんで知ってるかって?


ぁ……か、顔に! 顔にそう書いてありますの!


さ、さぁ、早くお乗りになって? ぐずぐずしていると、車でも遅刻してしまいますわ。


(車内)


(小声)ふぅ。良かった……。


……え? いいえ、なんでもありませんわ。こちらのお話ですの。


どう? 私の車……すごく広いでしょう?


専属の運転手に、ほら、飲み物なんかもありますのよ?


ほら、これなんかはあなたのお好みの飲み物ではなくて?


学校に着くまでのひと時に、少しお飲みになって?


ほら、このグラスも、私の父のコレクションの一つですのよ?


すごく綺麗で、手に馴染むでしょう? 私もお気に入りなの。


ん、そうね。朝ごはんも食べずに飛び出してきたんですもの、


何か口に含んだ方がよろしいですわ。


いい飲みっぷりで……うふふふふ。


あら、もう着きましたわ。


……早すぎないか、ですって?


いいえ。早すぎではないわ?


よっぽどお疲れなのですわね……ほら、私の膝に、頭をのせて?


……気づきましたか? 体全体がしびれているのに。


うふふっ……あははははははははっ。


その表情、ステキですわぁ……


ほら、車のドアの向こうを見て……私と、私に身を預けるあなたを撮影してくださっているわ。


それで、向こうに見えるのが私のお屋敷……これからのあなたのお家で、学び舎でもあるのよ?


これからは、もう、学校も、遅刻も……将来のことも、もう気にしなくていい私のコレクションになりますのよ?


では、参りましょう? 病院でよく見るストレッチャーの特注品に乗せて、私が直々に運んで差し上げます。


……なんでこんなことを、ですか?


社交界ではね……とはいってもあなたたち庶民の間でも、ペットを飼うのはずっと流行っているでしょう?


だから、私も、コレクションを増やすことに致しましたの。


ペットではなくてよ? コ・レ・ク・ショ・ン♪


ペットだと、待遇はすさまじいわ……


まぁ、あなたならきっと”良い”コレクションになってくださるだろうから、


今はしゃべりませんけど……おイタをしたら、ペットになっちゃうかも……?


うふふっ……コレクションの待遇は、お客様のように……


いえ、それ以上に、大事に大事にしまって、お世話して差し上げますわ……♪


(重厚な扉を開ける音)


ほら、ここが私の、コレクション部屋……


すごいでしょう?


このお部屋の中のものには、莫大な資産を投じましたわ……♡


あなたが使ったモノ、あなたが捨てたモノ、


食べ残したモノ取れたモノ切ったモノ触ったモノ好きなモノ嫌いなモノ着古したモノ…………


素晴らしいでしょう?


それに、あなたが生まれたときから、今までの記録も、


ほら、そこのフォルダーや壁に貼りだしてありますの。


ん? 成長記録がここにあるのはおかしい?


ふふっ……


莫大な資産を投じたのは、モノだけではないの。


あなた自身にも、投じられていますのよ?


ほら、心当たりはありませんか?


家族がそっけない……それに今日に限って遅刻しそうになって、私が現れた……


そう…そうよ!


あなたの家族も、学校も、友達も!


政府機関に警察、あなたが少しでも関わってきたすべて!


みんなみんなみぃーんな! 私が買収しましたの♪


だから、あなたがこれまで生きてきた痕跡は、


戸籍も含めてもうここ以外にはありませんし、


あなたが生きていける場所はこの部屋以外にはありませんの♪


あら、涙……これで、何リットルのあなたの液体が集まったかしら……


うふふっ……コレクションの生成元を、やっと手に入れましたわ……♡


こうやって、あなたをずっと眺めていられるのね…………


ほら、そこの檻の中が、これからあなたが一生暮らす場所よ?


あら、身をよじって……早く入りたいのね?


ん……? 何を言ってるのか聞こえませんわ? お薬が口元まで回ってしまったのね。


まぁ、きっとありがとう、と言ってますのね。


(小声)あなたのような方なら、


(小声)いやだ、出して、助けてくれなんて、バカなことをおっしゃらないと信じていますわ。


うふふっ、そんなことを言ったら、私も、ペットの扱いを考えないといけないですものね……。


そんなことにならないよう……”良いコレクション”で、いてくださいね……?

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