ヤンデレ上司「もう、私がいないとダメ、だよね……」

あ、きみ。


仕事、お疲れ様。


はい、コーヒー。


午後からも頑張れるように、先輩からのご褒美だよ。


遠慮しなくていいって。


君はよくやってるよ。


失敗は多いけど、でも、すっごく頑張ってるの、私知ってるよ?


私は先輩なんだから、君を応援するのは当たり前なの。


だから、ほら、気にしないで。


うん、いい飲みっぷり。


あ、飲みっぷりといえばさ、


今日、また私と飲みに行かない?


あ、勿論私のおごり。


そんなに頻繁に大丈夫なんですかって、


君はそんな心配しなくてもいいの。


こんな私だけど、君よりもいっぱい、稼いでるんだよ?


(小声)だから、君が専業主夫でも、ぶっちゃけ大丈夫ってゆーかぁ……


あっ、あはは、ごめんごめん、別に何でもないから。


で、どう? 私と飲み会は。


……ん? 他に誰か来るのかって、


いやぁ、まさか。私ときみだけだよ?


え? お断りします?


なんで?


……へ、へぇ~。他に、先に誘われてる?


そ、それってあの娘?


……ふーん…………


あ~、ちょっとごめんね。私、ちょっと体調崩しちゃったみたい。


うん、なんかごめんね?


じゃあ、私先帰るから。


(小声)急いで準備しなくちゃ。


うぅん、なんでもない。心配してくれてありがと。


じゃあ、午後もお仕事、頑張ってね。


(場面転換)


おはよう。


ここどこ、って、ここは私のおうち。


前にも、君が酔いつぶれたときに連れてきたの、もう忘れたの?


ダメだよ~、そんなんじゃあ、もう社会人しっかく~。


それにさ、ここに来る前のこと、覚えてる?


そうそう、君は飲み会の帰りに、一人になったところを私が、


こう、スタンガンとお薬で……ね?


そんな不用心だから、この先社会人としてはやっていけないね。


あぁっ、待って。話を聞いて。


君、そのまま出ていくっていうなら……会社での失敗、ぜぇーんぶバラしちゃうよ?


ふふっ、足が止まった……


うん、それ以上玄関の方に行ったり、大声を出したり、私に襲い掛かったら、


すぐにでも会社に全部送信して、ばらしちゃうから。


ん? そんな怖い顔しなくても、全部教えてあげるよ。


君の失敗さ、意外とおっきいんだよ? わかってる?


これが証拠……ここに、しっかりと残ってるよ?


でも、ばれてない。それどころか何事もなく上手くいってる。


それはね、私が上手に隠してあげてるからなんだぁ……。


うふふっ、でも、ばれたらやばいよね、会社にいられなくなっちゃうよね。


それに、そんな不祥事で首になったら、再就職も絶望的……。


分かったら、戻ってきて?


よーしよーし、いい子、いい子……


こーら、抵抗しちゃだめだよ。


こうやって、力を抜いて私に抱きしめられてて……。


んー……良い気持ち……。


(以下、囁き風)


君はさ、私に感謝……しなきゃいけないんだよ?


お仕事も失敗して、その後処理も知らないうちに終わってて、


なんとなーく安堵してるだけの、ちょっとお馬鹿さん……


それなのに、違う女にしっぽ振ってる、ダメな子……


でも、それでもいいんだよ……? 周りが怒っても、私はほら、優しく支えてあげる。


結局、私がいないと、君はダメなんだよ……


だめだめーっ……


……でも、私に抱かれてれば、もう大丈夫。そう、だよね?


だから……一回、確認しよ?


ほら、私に抱かれたまま、心の中で一緒に言って?


私がいないと、お仕事ができない……


私がいないと、クビになっちゃう……


私がいないと、なぁんにもできない……


私がいないと、落ち着かなくなる……


私がいないと、不安で不安でたまらなくなる……


私がいないと、生きていけない……


けど、そう、逆はね…‥


私がいれば。心配なんてない……


私がいれば、心が落ち着く……


私がいれば、満たされる……


私がいれば、他にはなにも、要らなくなる……


だから、私に、されるがままになったまま……


こうやって、私に抱き着かれてるのは、なんでだっけ……


落ち着くから……気持ちいいから、だよね……?


うん、正解……私がいれば、もう、いいよね……?


んふふっ……可愛い。


いいよ……このまま身をゆだねて……ほら、目蓋も、私が閉じてあげる……。


お酒も残ってるから、こうやってぎゅーってされてると、


すぐポカポカして、眠くなっちゃうよね……。


いいよ、ゆーっくり、ゆーっくり眠ろうね……。

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