第245話 たまらなく恐ろしい
「な、誰が泣きそうになってるって言うんだっ!?」
お前だよお前、と言いそうになるのだが、ここで言ったところで絶対に認めないだろうし、話を無駄に脱線させて長引かせるだけなのでここはグッと堪える。
「分かった。 分かったから。 とりあえず落ち着こうかクロード姫。 確かクロード姫は俺に何かを頼みたくてわざわざここへ来たんだろう? しかもクロード姫の様子からして一刻を争う事だと思うのだが?」
「そ、そうだったっ!!」
そして俺の言葉でクロード姫は『あ、思い出したっ!!』というような表情をした後に俺へ何が起こったのか説明をし始める。
「先ほども言ったように俺はスフィアを尾行していたんだ。 これはるストーキングだとかやましい行為などではなく、スフィアを守る為に仕方なくやっていたんだ」
クロード姫がここまで言ったところでブリジットとカレンドールが『どうしてどうすぐバレる嘘をつくんですかっ!?』『本人の許可なくやっているのでしたらそれは立派なストーカーではないのかしら?』と言いたげな表情をし始めたので、また話が脱線しかけるのは流石に面倒臭い為目線で『ここはグッと堪えてくれ』と送ると、ブリジットとカレンドールは『貸しひとつ』と目線で返してくる。
昨日子作りを約束したばかりなので、その貸しひとつがたまらなく恐ろしい。
「うん、そうだね。 クロード姫はストーカーではなくてスフィアの護衛をしていたんだよな」
「そうなんだ。 話せばわかる奴じゃないか、お前は」
なんだろう、殴ってやろうか?
「お、……おう」
そう思ったのだが、なんとか飲み込む俺。
「それで、スフィアを護衛がてら尾行していたんだが、校門を出た瞬間にスフィアが何者かに攫われたんだっ!! 頼むからスフィアを助けてやってくれっ!! この通りだ」
「無理です」
「そうか、お前ならば元婚約者でありクラスメイトでもあるスフィアを助けてくれると思って…………え?」
「無理です」
なんで俺の正体がバレそうな行為を、なんの旨味もない、むしろデメリットしかないにも関わらず助けなければならないのか。
それに、こいつに断った後にブラックローズとして助け出せば問題ないだろう。
「誘拐ならば俺に頼るのよりも衛兵などに頼めば良いだろう? 武器は武器屋って言うだろ? 下手に素人が助けに行った方が危ないと俺は思うんだが?」
「俺もそう思ったんだが、こと戦闘面に関してはお前程の適任者はいないんだっ!! 既にお前の強さは衛兵どころか近衛兵と同等かそれ以上だと俺はこないだの決闘で実際に戦ってみたからこそ分かるんだっ!!」
「良いでしょうっ!! その悩み、カイザル様が引き受けますっ!!」
はっ!? ブリジットっ!? なんでお前が決めてるんだよっ!?
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