第192話 蒸気で動く機関車
◆
「モーリーさん、この形で大丈夫ですか?」
「あ、はいっ。 今確認しますね。 うん、これなら大丈夫でしょうっ」
私は結局あの後カイザル様の婚約者となれたのだが、カイザル様から「婚約するには俺の奴隷になってもらう必要がある。 それでもするのか? 断るなら今のうちだぞ? 本当に良いのか?」としつこく聞いてきたのでその全てに「構わないですっ!! 奴隷でも何でもしてくださいっ!!」と答え、私は晴れてカイザル様から婚約を承諾していただくことができた。
あの時はまるで嬉しすぎて天にも昇るようであったのだが、それは序の口であり、カイザル様が使役している全員奴隷の秘密結社を紹介された時はその時以上に興奮した物である。
それは何故かというと、このブラックローズであるのだが、既にカイザル様の天才的な頭脳により様々な物が産みだされていたのである。
その中でも特に驚愕したのが蒸気で動く機関車という物であった。
カイザル様は私に対して、世界の歴史を変える人物とおっしゃってくれてましたが、何のことはない、カイザル様そのものが歴史を変える人物だという事を思い知らされたのである。
元々カイザル様には一生をかけてついて行くつもりだったのだが、蒸気機関車を見た瞬間、絶対に来世もついて行こう割と本気で思った瞬間でもある。
そして私はカイザル様により新たに設立されたブラックローズ開発部門の初代部門長に任命されてからというもの、毎日が楽し過ぎて、一日を生きる度に今が最高値だと思っていたカイザル様への忠誠心が更に上がって行くほどである。
しかも何がすごいって、このブラックローズのメンバー達は一人でも国を落とせるのではないかという程の力を持っており、その中でも錬金術系の中から私がピックアップした者を開発部門の一員にして、その神をも嘲笑うかの如く過ぎた力を持つ者たちが私の想像した通りの金属を作り上げていく様は感激で目から汗が滝のように流れでるほどであった。
これで、私の妄想で終わったものを現実に好きなだけ試す事ができるっ!!
この嬉しさたるや。 今まで私を嘲笑って来た大人達を見返してやると思ってしまう程であった。
しかしながらそんな邪な気持ちなど、私の妄想を形にできるという楽しさの前では瑣末なものであり今ではどうでも良くなった。
「あ、ありがとうございますっ!」
「いえ、それにしてもここまでの精度で私が渡した図面通りの金属を作れるのも、毎回思うけど本当にすごいですよね」
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