第190話 とにかく凄すぎるのだ
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あれから二日ほどかけて私はカレンドールに言われた通り私の頭の中の妄想、特にここ最近妄想しているドリル関係やそこから派生した回転関係で何か良いものは無いかと考えた結果を図に書き写してカレンドールへと渡す。
書き写した物は私の想像では実現はできるものと断言できるのだが、実際に実行に移した事がないのでそれが実現出来るかどうかは分からない。
ただわかる事があるとすればあんな物を見たら誰もが口を揃えて『妄想はいい加減にしろ』と、言葉は違えど似たようなニュアンスで私に行ってくると言う事くらいであるし、私ももうそれが当たり前になっていた。
「モーリー、ちょっといいかしら?」
「は、はいっ! カレンドールっ!」
「ここじゃ言えない内容だから少しついてきてくれるかしら。 カイザル様から昨日渡された図面の解答を頂いたので渡しておきたいの。 きっと驚くわよ」
そんなこんなで昨日、二日間かけて書き上げた図面、そしてそれらの説明文をカレンドールに渡してからまだ一日しか経ってないのに早くも返事が来たと言うではないか。
いくら何でも早すぎる。
そう思うと共に『やっぱり』と言う感情が溢れてくる。
なんだかんだ言っても期待していたのだろう。
「わ、分かりました……行きましょう」
それでも、何故だか知らないのだけれどもカレンドールがあそこまで言う人であればきっと何かがあるのだろうと言う淡い希望が微かにあるのも事実である。
結局私は認めたくないのであろう。 私の中で繰り広げられる妄想が無駄だったと言う事を。
そして私はカレンドールに連れられて校舎裏まで行くと、カレンドールは昨日私が渡した図式を鞄から取り出し、そのまま私に渡して来るではないか。
あぁ、結局ダメだったか……。
そう落ち込みながら手元の図式を見ると、何やら赤文字で追記されているではないか。
「だから言ったでしょう。 私の婚約者であるカイザル様ならば貴女の知識についていけると。 ちなみにその赤文字は、貴女の図式では不完全な箇所の修正だそうよ。 って、もう聞いてないみたいね。 でも、すごく嬉しそう……」
何だかカレンドールが私に話しかけてきている気がするのだが今はそれどころではない。
すごい。
すごいすごいすごいすごいっ!!
とにかく凄すぎるのだ。
特にドリルの回転から発想を得て、その回転の動力を使って空を飛ぶ乗り物の図式には『この場合はトルクが生まれる為、それを打ち消すために重心から少しはなれた場所に回転と反対方向の推力を発生させる必要がある。 実用性は大いにあり。 それを踏まえた図式が以下A:ヘリコプターである』と言う文章である。
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