第154話異論は認めない
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明日はカイザル様とクロード殿下との決闘の日である。
もしかしたら、前回同様に開始と同時に投了するかもしれないのだが、流石に二回目ともなるとクロード殿下も何かしら対策はしてくるだろう。
当然それに対して我らがブラック・ローズの奴隷達のご主人様であるカイザル様の事である。
クロード殿下如き低脳者の考える策くらい簡単に思いついているのであろうが、だからと言ってここで何もしないのはただの駄犬である。
私ぐらいの忠犬にもなるとカイザル様の為に何ができるのかを常に考え、私だからできる事をしてあげられるし、故に私は忠犬なのである。
明日はカイザル様とクロード殿下との決闘ということは、その前日である今私たち奴隷という名の犬にできることは限られてくる。
そもそもカイザル様は滅多な事がない限り私達奴隷に命令をして下さらず、ついついヤキモキしてしまうのだが、ここで命令待ちしているようではその他奴隷達に埋もれて終わりであろう。
そう、忠犬とは命令されなくてもご主人様のために、ご主人の事を思い行動へ移せる奴隷の事を言うのである。
それは私、ブリジットがそうするようにだ。
故に私は自他共に認める忠犬でもある。 異論は認めない。
そして自他共に認める忠犬こと私は、今からカイザル様の寝室に向かっている。
現在の時刻は時計の針が天辺を回ったところであり、当然廊下の明かり用の蝋燭も消されているため辺りは真っ暗である。
そんな廊下を手に持つランタンの灯りを頼りに進んで行きカイザル様の部屋へと続くT字路の突き当たりを曲がり、目的の部屋の前まで来ると、本来であれば失礼なのだが就寝してたら逆に起こしてしまう可能性もある為ノックをせずに息を殺してカイザル様の寝室へと入って行く。
きっとカイザル様も私と一緒に一夜を過ごせばなんやかんやでリラックスして目覚めもスッキリ最高の朝を迎える事であろう。
そのなんやかんやが無かったとしても、朝目覚めた時に隣で愛する女性が眠っている姿を見ればきっと多幸感から最高の一日の始まりとなるに違いない。
何ならこのチャンスをものにして身籠るという展開ならば最高だろう。
妄想が捗る、ではなくて夢が広がる。
それに今日はみんなに内緒で買いに行った攻撃力の高い下着も着ているので、きっと激しい夜になる可能性は高いと言えよう。
何故ならば攻撃力が高い下着だからであるっ!!
そして私はカイザル様の眠る布団へと潜り、感じるカイザル様の体温と一定のリズムを刻みながら聞こえるカイザル様の寝息を間近で感じる。
その、幸せそうに眠るカイザル様の寝顔を眺めているとある事に気づいてしまう。
それは相手も同じようで、私とカレンドールは暗闇の中、カイザル様を挟んで目線が合う。
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