第142話カイザルと婚約をした、だと?
◆
「これはどういう事ですか? カレンドール」
「どうもこうも、私はこの度晴れてカイザル様の婚約者となったのです」
「ええ、それは知っていますが、それとこれとは別問題でしょう。 そもそも貴女は私のご主人様であるカイザル様の事が嫌いだった筈。 それが何故甲斐甲斐しくご主人様の身の回りの世話をし始めるのですか? 嫌いならば無理にする必要はないですよ?」
「あら? いつ私がカイザル様の事を嫌いだなんて言ったかしら? むしろ私はこの数日で運命の人は誰なのかを知ることが出来たと言っても過言ではないわね。 それは勿論カイザル様なのだけれども、カイザル様以上に貴族らしい貴族は恐らく帝国中探しても見つからないでしょうし、そしてなんと言ってもあの強さたるや。 ブリジットさんも女性であるのならば分かるでしょう? 子宮が疼いてどうしようもないこの感情が」
「何真実の愛ですみたいな事を言ってるんですか。 そもそもつい最近まで敵意剥き出しでご主人様に刃向かってきた貴女の口から『分かるでしょう?』と言われましても、全く理解できませんね。 カレンドールはそのまま表側の虫除けの為に婚約者を演じていれば良いのです。 学園でのご主人様の身の回りの世話は私がしますので、わざわざ嫌いなご主人様の身の回りの世話をする必要はないのですよ?」
「真実の愛というのは、長く付き合えば分かるというものではないわ。 それこそある日突然雷に打たれたかのような衝撃と共に分かるものよ。 そして私はカイザル様を愛してますし、愛しているからこそ婚約を女性である私からカイザル様へと申し出たのです。 故に愛しのカイザル様の身の回りの世話はこの
「ふん、どうだか。 そうやって言えば言うほどカレンドールの言う真実の愛というのは嘘くさくなるだけです。 もうペラペラです。 ちり紙です」
朝、俺が学園に登校すれば、いつも直ぐに俺の元に飛んでくるカレンドールの姿はなく、俺ではなくカイザルのクソ野郎の所でブリジットと何やら口論をしている姿が見える。
あのカレンドールがあんなに感情的になって口論する姿は今まで見た事がなく、どんな内容で二人が口論しているのかと興味が湧いた俺ははしたないと思いつつも聞き耳を立てる。
そして聞こえて来るのはどちらがカイザルという名のゴミの身の回りの世話をするのかという事で口論しているようである。
しかも、その二人の口論を聞いていると聞き捨てならない言葉が飛び交うではないか。
「あのカレンドールが、カイザルと婚約をした、だと?」
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