第75話話にならないレベルだ

 そう俺が説明すると俺以外の家族はまるでバカを見るような表情で俺を見つめ出す。


「バカだバカだと思っていたがここまでバカだったとは……」

「あの前妻の息子ですもの。 ここまでバカでも有り得ますわ」

「本当に兄さんってバカだよね。 僕達が飼っている犬のペスの方がよっぽど頭が良いよ」

「でも自分から奴隷になるって言ってくる所は評価出来るわねっ! 何だかんだで兄さんは私たちの奴隷だってことがようやっと分かった見たいねっ!」


 そしていつも通り、俺を見下し、馬鹿にして誹謗中傷するような言葉をまるで息をするように吐き出す。


 そもそも無詠唱で契約魔術を発動した時点で俺の強さはここに居る愚弟に愚妹達よりも魔術の実力は上であるという事が何故分からないのか。


 所詮こいつらもその程度の奴らという事なのだろう。


「御託はいいからさっさと始めようか。契約魔術はもう既に発動しているからいつでも来いよ、この三下ども。 俺がいつまでも貴様らの下手に出ていると思うなよ? 流石に俺の母さんの事までバカにされて許すほど俺も人間はできていないぞ? どうした? 早く──」


 恐らくゆっくりじっくりと俺を嬲っていく予定なのだろう。


 未だに嫌味を言うだけで動く素振りすら見せないのでこっちから煽ってやると効果は絶大だったらしく奴らはみるみる顔を真っ赤に成りだし、ついには俺が喋り終える前に俺の顔面目掛けて弟であるグエンが火の攻撃魔術である【火球】を放ってくる。


 炎の魔術ではなく火の魔であるところを見ても、はっきり言って話にならないレベルだ。


 この程度でよくあそこまで威張る事ができたものだ。


 いや、そもそもこの世界ではゲームの世界と比べると全体的に魔術もスキルも何もかもが低レベルとなってしまう為比べるのは酷というものかもしれない。


「おいおい、まだ兄さんが喋っているだろうが。 公爵家として作法は教えられて来なかったのか? 『他人が喋っている時に魔術で攻撃してはいけません』って。 教養の無いバカで猿以下だとは思っていたけど、その通りみたいだな」

「き、貴様ぁぁああっ!! 撤回しやがれっ! この俺に向かって教養のないバカで猿以下だとっ!? それは貴様の方ではないかっ!!」


 そして俺の煽りは絶大であったらしく、弟は狂ったように俺へ【火球】を放ってくる。


 その事からこの弟は【火球】如き低レベルも低レベルの魔術が得意であり自信のある魔術なのであろう。


 しかし、その得意な魔術を顔面に喰らって傷一つも無い俺をみて何も思わないのかね。


 というか、前までの、記憶やゲーム能力を引き継ぐ前の俺であれば間違いなく最初の一撃で俺の顔面はその火で焼け爛れているのだが?


 そのような魔術を、防ぐことが出来ないと分かっていながら顔面目掛けて躊躇いもなく放ってくるとは……。


「その覚悟はできてんだろうな?」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る