第62話 満場一致
それと同時に新谷さんにとって私は異性として見られていないのでは? という新たな疑問も生まれて来るのだが、その点に関しては新谷さんの精神面が良くならない限りどうしようもないので一旦心の隅に保留する。
それに、私から貰ってばかりという関係の場合は新谷さんにとってもおそらくストレスになっていたのだろうし、何か私に返す事ができると言う事で新谷さんは心のバランスを保とうとしているのであろう事が窺える。
もし私が新谷さんの場合で考えてみると貰ってばかりで何も返す事ができないというのは考えただけで辛いものがあるので新谷さんの気持ちもわかる為、お金を頂くという事を否定する事はせず、素直に受け取る事にする。
それよりも今は新谷さんと一緒に今晩食べる料理の話や、買い置きする話をしながらスーパーを回りたい衝動の方が大きく、私はその疑問を保留にした瞬間には記憶からも消し去り無かった事にして今を楽しむ事へと無意識のうちに思考を切り替える。
「じゃぁこの話は一旦終わりましょうっ!! 今はそれよりも今日の晩御飯ですっ!! 何にしましょうかっ!?」
そしてこの話はもう終わりと一方的に切り上げて、強引に今日の晩御飯の話題へと変えるのだが、若干声が上擦ってしまうのは致し方ないだろう。
だって、想像以上に新婚さんっぽくて思わず想像してしまったのだから、これは満場一致で仕方ないという意見が私の脳内会議でも出ている。
それと同時に今私達はどのように見えているのだろうか?
もしかしたら奥さんが大好き過ぎる旦那さんを嗜めながらもイチャイチャしながら買い物する夫婦という風に周りから見られているのではなかろうか。
そう想像するだけで妄想は更に捗り、幸せな感情が更に溢れてくる。
本当に今この新谷さんとの新婚生活という妄想が現実になれば、どれだけ毎日が楽しいのだろうか。
「そうですね……あ、餃子の皮と白菜が安いのでこのまま餃子とかどうですか?」
「餃子っ!! 良いですねっ!! 今からもう食べたくなっちゃいましたよっ!! 今日は餃子で決定ですねっ!! 餃子パーティーですっ!! あ、それだと、あとはひき肉とかも買わないと。 ひき肉は豚と、鳥と豚の合い挽きとどっちにします?」
「そうですね、俺は餃子の場合はどちらかといえば鳥と豚の合い挽きが好みですかね」
「じゃあそうしましょうか。 他のタネは何を入れたりします? 私はお餅とかキムチとかソーセージとか、あ、海老も美味しいですよねっ!!」
「じゃあ折角ですし全部買っちゃいましょうっ!」
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