第97話
「なぁ、今の俺の現状なんだけれどさ……」
「あら、美少女三人に囲まれて幸せ絶頂といったところかしら? 幸せ過ぎて今の環境が夢じゃないかと、いつか崩れ去る砂の城なのではないかと今さらながらに不安になったとかかしら? それなら現実だと実感できるまで私がいつでも抱きしめてあげるわよ。 なんなら私たちが養ってあげるから学校も退学してヒモになりたいとかでも大丈夫よ」
「まったく、どうしてこうなったのやら。 もしこの状況にならなければ私は間違いなく健介とは付き合うどころか、こうして一緒に登下校すらできなかったであろうし、将来健介との子供も欲しい私としては妥協点かなぁ。 独り占めしたいという欲求や嫉妬は無いとは言わないけれども、それよりも接点が無くなる方が私は耐えられないしっ」
「え? 何・ やっぱり私にもう一度監禁されたいとかですかねっ!? じ、実は私健介に合った監禁、散歩用の首輪をつい最近購入したんですよっ!!」
もうこの時点で俺は何もかも投げ出したくなった。
誰も俺の事を知らない場所でひっそりと一人で暮らして生けれればどれ程幸せなのだろうか。
なんでもないような事が幸せだったと思うという某有名な歌詞の意味をこれほどまでに共感する日が来ようとは、少し前の俺を見て誰が想像できようか。
そもそも、彼女達三人から俺の話を遮るようにして返って来た言葉に『養ってあげるからヒモになっても大丈夫』だとか『子供が欲しいから三又は妥協できる』だとか『俺の為に監禁、散歩用の首輪を買った』だとかいう内容の言葉を言っている時点でこの三人には『常識』だとか『まともな思考』というものを期待する方が間違っているのだと再確認する。
あと、彩音さんには『身体を動かしていると落ち着くから』という理由でジャブ(物理)の素振りをするのは止めて欲しい。
胃に穴があきそうだ。
「い、いや……そうではなくて、学校での周囲の視線が、なんというかその……精神的にキツイからあまり学校では俺と絡むのは控えて欲しいなぁー……なんて。 ははは……」
「ご、ごめんなさい。 そうよね。 健介とかなり近づけたと思って自分でも思っている以上に舞い上がっちゃてたみたいね。 明日からはもう少しだけ健介の事を気にかけて行動をするわ」
「わ、私も麗華と同じように、昔と同じように接する事が出来るようになって舞い上がってたみたいねっ! 次からはきをつけるわっ!」
「ねぇ? それどこのドイツなの? 名前を教えてくれたら私がどうにかしてあげますよ?」
学校内でトップ1、2を争う美女二人が、催眠術アプリが俺に効くと勘違いしていて地獄だ Crosis@デレバレ6/21連載開始 @crosis7912
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