第85話策士
そして、麗華は高木さんに近づくと何かを俺に聴こえないくらいの声で話すではないか。
その麗華の言葉を聞いた高木さんは目を見開き驚いたような表情をするではないか。
一体麗華は高木さんにどのような言葉を言ったのか非常に気になって仕方がない。
あの、頭のネジがニ〜三本ほど抜けていてもおかしくない高木さんがあんな驚いた表情をするのだから、とんでもない話である事は間違いない。
「だ、騙されませんっ!! い、いまさらそんな事を言われても、虫が良すぎますっ! 高城君を独り占めされるのが嫌だから、耳障りの良い言葉を言っているだけに違いにですっ!! そ、それに私はあの催眠術アプ──」
「あら、高木さん。 それ以上は言ってはいけないわ」
高木さんが『催眠術アプリ』という言葉を使おうとした瞬間、麗華が言われる前に高木さんの言葉を遮りながら割り込む。
「あ、あなた達がそうやって高城君をおもちゃにしないと、そしてもう高城君に近づかないと誓っていただければ、この事は黙っておきます。 けれども、誓えないというのであれば例のアプリを使ってやっている事を高城君にバラします。 バラされたくなければ私の言う事を聞いてくださいっ!」
おっと、俺に対してはあの催眠術アプリが偽物であることをばらすと脅して、麗華には催眠術アプリを使って俺にしている事をバラすと脅す。
なかなかの策士である。
脅された結果俺はこうして高木さんの言うことを聞く羽目になっているようにその効力は絶大であり、それは麗華とて同じであろう。
そして、麗華は先程同様に高木さんに近づいて俺には聞こえない声で会話を始める。
「同じ人を好きな者同士、私達は気が合うと思うわ。 それに……」
「そ、それに……?」
「友達の家でお泊まり会なんかして、お互い好きな人の話題で女子トークとかするの、想像しただけで楽しいと思わないかしら?」
「そ、それは……まぁ、た、確かに……そうかもしれませんんけど……」
「それに、私たちが愛している健介君が一人で収まる程度の男性では無い事は既に高木さんも承知のはずです。 何故ならば、健介くんはこの世界の誰よりもイケメンで心は優しく、とても素晴らしい世界一の男性だからです。 今後の為にも悪い虫がつかないように監視すると言う意味も、もちろんあるわ。 そしてそれは友達とする方が高木さん一人でするよりも効率がいいと思うのだけれど? そうすればわざわざ健介くんを監禁する必要も、明後日結婚記念日で旅行に行っている高木さんの御両親にバレるリスクもなくなるんじゃ無いかしら?」
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氷室麗華「一人でやろうとするからだ。
一人だから苦労するんだ。
仲間になれ、高木。
仲間になれば好きな異性の話題で恋愛トークも普通に友達として休日遊ぶ事もできる。
青春を謳歌する事ができる」
高木美優「よもやよもや」
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