第62話周囲の視線がやけに痛い
そんな感じで麗華はフードコートに出店している店舗とメニューをまるで獲物を物色している肉食獣かの如く眺めているのだが、とある店舗を発見した後はその店舗に釘付けになっていた。
「食べたことないのか? メクナルド」
そう、麗華が釘付けになっている店舗と言うのは日本全国にチェーン展開している誰もが知っているあのメクナルド、その店舗であった。
メックを食べた事ないと言うのは今時珍しいと思うのだが、麗華ならばそれもあり得るかもしれないと思いつつ俺は質問してみる。
「いえ、何度か親が買ってきてくれた事があるので食べたことはあるわ、しかしその、お友達や、デ、デートなどで利用して今時の学生のような事をずっとしてみたかった……と言ったら笑うかしら?」
「……………………っ」
なんだ? この可愛い生き物は?
そう上目遣いで恥ずかしそうに言う麗華は想像以上の破壊力で、にやけてしまいそうになるのを必死に耐え凌ぐ事で精いっぱいである。
「あっ! 今笑ったわねっ!?」
「笑ってない。 言いがかりだ」
「噓よ。 少しだけ口角が上がったのを見逃さなかったわ」
「それは麗華が可愛すぎるのがいけないのでは?」
「……なっ!? ……かっ……かわっ……何を言っているのよっ!! ま、まぁ許してあげるわ」
「けっ!」
「爆発しろっ!!」
「くたばれっ!」
なんだか周囲の視線がやけに痛い気がするのだが、別に疚しい事をしている訳でも非常識な事をしている訳でもないので、視線の原因は分からないのだが問題は無いと判断してそのままメクナルドへと向かい、無事に注文を終え、出来上がったらアラーム音が鳴る子機を受け取って空いている席について一息つく。
しかし、少し前までの俺からすればまさか麗華と今こうして二人で出かける事になるとは、教えたところで信じてもらえないだろう。
なんだか不思議な気分である。
それこそ、夢の中の出来事だと言われた方がしっくりくる。
そしてアラームが鳴った為俺が商品を取りに行く」
「はい、フィッシュバーガーとウーロン茶」
「ありがとう。 しかし、こんなにも種類があるだなんて思いもよらなかったわ」
「それであんなに選ぶのに時間がかかったのか。 ちなみに想像では何種類だったんだ?」
「そうね、普段買ってきてくれるチーズバーガーに、ハンバーガー、それとポテトくらいかしら? まさかフィッシュバーガーやエビバーガーなるものがあるなんて、何で今まで教えてくれなかったのかしら?」
そう不思議がる麗華なのだが、俺両親も基本的に金銭面からハンバーガーまたはチーズバーガーしか買ってきてくれなかった事を思い出し、少しだけ懐かしむと共に親近感を覚える。
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