第22話考える事を辞める
頭がどうにかなってしまいそうだ。
「じゃ、じゃぁ……そのままご飯を食べさせて」
そして言われるがまま俺は彩音が作ったご飯を、言われた通り食べさせてやる。
「ん、美味しい。 じゃあ今度は私が食べさせてあげる。 はい、あーん。 ど、どう、かな? 美味しい?」
「ああ、すっごく美味しいよ」
すると今度は彩音が俺にご飯を食べさせてくれるではないか。
今日の彩音の作った晩御飯は、揚げ出し豆腐、炊き込みご飯、ハンバーグに卵焼き。
全て俺の大好物である。
その俺の大好物を、顔だけは超絶美人な彩音が上目遣いで『美味しい?』と聞いて来るのだ。
しかも、腐っても幼馴染であり、俺の味覚を熟知した彩音の手料理。
美味しくないわけが無い。
「うっ!?」
「な、なに? どうした?」
「な、何でもないよ」
「そう、それなら良いけど。 あ、ほらっ! 催眠術にかかっている時間は短いんだから、今度は私に食べさせてよっ!!」
そして本当に幸せそうな笑顔で『早く早く』とせかしてくる彩音には言えない。
彩音が少し動くたびに俺の息子がダイレクトに刺激されている事を。
このままでは新たな性癖に目覚めてしまうかもしれない。
そんな新たな難敵を迎えながら俺はこの地獄の様な天国のような時間を何とか耐えきるのであった。
◆
危うく新たな性癖に目覚めるところであった。
いつもの寝る前の日課をこなそうとしたとき、何の違和感も躊躇いも無く彩音と、彩音の柔らかさと匂いを思い出しおかずにしかけていた時は心の底からゾッとした。
もし催眠術の時間があと少しだけ長かった場合、俺はあの夜間違いなく最後まで行っていたであろう。
そしてそのせいで俺は発電しようとする度に俺が行おうとしていた事を思い出して嫌悪感からできなくなり、しかし悶々としたものは解消されるでもなく、ただただ何もせず寝れない時間を過ごした訳である。
眠いのに寝れない、悶々とするのに発電できない、ストレスで禿げてしまいそうだ。
カーテンの隙間から漏れて来る太陽の光が辛い。
学校を休みたい衝動にかられながらもシャワーを浴びて強引に脳を覚醒させると学校へ行く身支度をする。
そしてリビングでは彩音が朝食を作り始めており、みそ汁と焼き魚の良い匂いが漂ってくる。
どうやら俺がシャワーを浴びていた時に来たらしい。
ここ、俺の家で間違いないよな?
なんで赤の他人が俺の了承も無く勝手に入って勝手に台所を使っているのだろうか?
とは思うものの脳を使おうとするとしんどいので考える事を辞める。
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