想い人に近付くほど、私は世界を壊してしまう。宇宙はあまりにも、儚い。
「呪われた子」――物心ついた時から、私はそう呼ばれていた。
四歳で故郷を滅ぼし、里親を転々とし、そして、十二歳で飛び出した。
「ゼタ」――黒い霧から生まれる魔物。ゼタを狩る者は「狩人」。私はゼタを狩り続け、そして生き延びてきた。
神殿の勢力に追い立てられるようにして、私はベルドという町に辿り着き、魔女と出逢う。
そして、私の運命の人と……。
決して結ばれず、ただ永劫に交わり続けるだけの運命の人。
私はその運命を変えるために。
別離の宿命を終わらせるために。
ニーベルングの指輪を手にし、そして、神を、殺す。