第68話
「え?」
「背が高い女性も可愛いんだって、皆に認めさせます。それから背が低いということで嫌な思いをしている人たちを助けたい……」
もしかすると、男性アレルギーは無くても、男性に体を触られたり、どこかへ連れ込まれそうになったりと、嫌な思いをしている令嬢がいるかもしれない。ローレル様は、そういった方に「私の名前を出しなさい」と助けの手を差し伸べていた。
私だって、一人でも嫌な思いをする女性を減らしたい。もし、小柄だから侮られている人がいるならば……。
「かかとが20センチくらいある靴を作ろうと思います」
今の主流はかかとが5センチほどだ。平均的な女性の身長160センチが165センチになる。平均的な男性の身長が175センチだから、10センチほどの身長差となる。
ローレル様は、かかとの無い靴を履いていても170センチほどあったんじゃないだろうか。ヒールを履くと175センチ。男性よりも高くなってしまうことがあるだろう。
「に、二十センチ?リリー様、本気ですか?歩けますか?踊れますか?」
うっ。流石に無理かしら。
「かかとだけではなくて、つま先の方も高くして……えーっと、つま先を5センチ上げて、かかとを15センチ上げる?それなら10センチほどのヒールと同じような感じにならないかしら?流石に20センチは難しいかもしれないですが、15センチならば……」
160センチの女性が175センチ。ローレル様がヒールを履いたのと同じくらいになる。
「それならば可能かもしれませんが、ですが、何故、そんな高いヒールを……」
「ローレル様はとても美しかったわ。すらりと背が高いのは素敵なんです。それに、縦に長くなればその分スマートに見えます。コルセットを必死に締めあげて細く見せるよりも、効果的かもしれません。ウエストの位置も高くなり足が長く見える効果もあるでしょう。そして、スカートが長くなる分、ボリュームが出てより華やかなドレスが仕立てられると思うのです」
社交界で流行を作り出すのは、上位貴族の女性だ。
「なるほど……確かに、痩せるよりも靴で身長を伸ばした方が楽かもしれませんわね?ですが、可愛げが無いと思われませんか?」
「あら、社交界って、女性の目こそ大切なのではありませんか?」
男性にもてるためのファッションを求めているのであれば、新しい流行など必要ない。貴族の女性は、その大半は既婚か婚約者がいる。男性の視線を集めることよりも、女性として流行おくれだとか似合わないとか古いドレスだとか恥ずかしい噂を立てられないようにとドレスを選んでいると思っているんだけれど。違ったのかな?
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