60.事件の真実
「今回、シャザームはアルフィア様の代わりにレフェイラを利用しました。アルフィア様を利用することはできないと思ったからです。その結果、彼女はレフェイラを操り、失敗した後彼女の魂を奪いました。前と同じことをしたのです」
「……それで、レフェイラの魂はどうなったの?」
「彼女の魂は、無事です。今回は、実験する余裕もありませんでしたから……」
「そう……それは、幸いね」
ファルーシャの言葉に、私は少しだけ安心する。
これで、レフェイラの魂まで壊れていたとなると、悲惨だ。せめて、彼女の魂だけでも健在であることは良かった。
魂の取り扱いについては、メルティナとキャロムが知っている。これで、レフェイラは元に戻ることができるだろう。
「シャザームは、どうやってレフェイラ様の魂を奪ったのですか?」
「体育館でもありましたが、彼女は魂を分割する魔法を発明していました……これは、アルフィア様の魂で実験した結果なのでしょうが、それを使ったのです」
「魔法の実技の時、自らの魂を分割して、レフェイラ様の体に入ったということですか?」
「ええ、その後計画が失敗した彼女は、自らの体からレフェイラの魂を抜いたのです。彼女を犯人として、とりあえず事件を終息させるために……その後、彼女は私の体に分割した自らの魂を戻しました。ただ、いざという時のためにレフェイラの体の方にも魂を残していたのですが……」
レフェイラは、私達の予想通り、体育館で魔法をかけられたようだ。ただ、それは操る魔法ではなく、乗り移る魔法だったようだが。
シャザームが学園で使ったのは、迷宮魔法と魂奪取魔法、そして乗り移る魔法だったようである。これでレフェイラの事件の経緯もわかった。後は、事件に起こった被害を解決するだけだろう。
「ファルーシャ、それでシャザームの研究室というのは、どこにあるの?」
「私の実家にあります。彼女が、私の部屋に地下室を作ったのです」
「そこに二人の魂があるということかしら?」
「ええ、ただアルフィア様の魂は……」
「ええ、わかっているわ」
シャザームの研究室とやらには、二人の魂があるようだ。レフェイラの方は、メルティナやキャロムが魂を移せばそれで終わりである。
しかし、アルフィアの方が問題だ。壊れた彼女の魂を元に戻すことができるのか。それは、とても重要なことだ。
「ここは、二手に分かれて行動するべきですね。どちらに関しても、重要なことですから、この休みには行動したい所です」
「そうね……確かに、その通りだわ」
学園から各々の実家に向かうには、それなりに時間がかかる。そのため、休みを利用しなければならない。
幸いなことに、明日と明後日は休日だ。行動はすぐにできる。
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