第12話


「理沙さん!!直生来てましたよね?!」



倫くんたちを見送って事務所に戻ると、鼻息荒くアヤちゃんが詰め寄ってきた。


年齢層の高いこのお店で、唯一の後輩。

このお店の中ではだいぶ若い子キャラだけど。それでも私の一つ歳下、26歳。




「くっそー、航の次に直生が一番好きなんですよ!!

テーブルつきたかったな~~~羨ましい!!」



拳を握って、宙を仰ぐ。



『“航の次”って、その時点で一番じゃなくねー?』



ロッカーの鍵を回す。



「まさか、この後アフター入ってたりしません?」


『しないよ、さっき帰った。』




なーんだと思いっきり気の抜けた顔になり、しょぼしょぼとドレスを脱ぎ始めたアヤちゃん。




可愛いなぁ。

今度航大が店に来たら、また席に呼んであげよう。



ファンクラブに入るほどのplanetファンらしいのに、席では全くミーハーに振舞わない。

ホステスとして、適度に騒いで盛り上げて。いい仕事してくれる。


だから、私はアヤちゃんが好き。





お疲れさまでーすとアヤちゃんが欠伸をしながら出て行った頃、携帯が光った。








画面に浮かぶ、

『剛田 剛』

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