第62話

「大丈夫だよ、優斗はそういう大人になれるよ」

 優斗のいう、その人に会ってみたいと思ったけれど……。5年も昔に息子が助けてもらいましたと言うのもおかしなものだし、優斗がずっと買っている物をストーカーのごとくチェックしていたなんて知られたら困るだろうから会う機会もないだろうなぁ。

 さ、買い物買い物!

 2階から1階の食品売り場に降りて、カートに2つカゴをセッティング。

 上のカゴには生鮮食品。下のカゴには調味料など入れていく。

 牛乳を2本と豆乳を1本。

「あれ?豆乳?飲んだ記憶ないけど、買うの?」

「うん、さっきパラパラ見ていた本に、豆乳は肉が食べられない子でもたんぱく質を摂取させられるみたいなことが書いてあったから。プロテインって筋肉作るイメージあるでしょう?育ち盛りには必要だけど、優斗もあんまり肉食べないじゃない?だから、カレーに、水の代わりに豆乳を入れて作ってみようかと思って」

「え?それ、美味しいの?」

 分からない。けど、牛乳やヨーグルトやココナツミルクを入れてカレーをマイルドにするというのを聞いたことがあるから、豆乳でも大丈夫なんじゃないかな……。

「ちょ、母さん、なんで答えてくれないの?」

 優斗が何か言っているけど、気にしない気にしない。

「あ、お弁当に豆入れるね。どっちがいい?」

 煮豆。昆布のやつか野菜のやつか。黒豆はどうなんだろう?同じようにたんぱく質取れるんだろうか?調べてみないと分かんないなぁ。

「あ、これ久しぶりに食べたい」

 マグロの角煮を優斗が手に取った。

 そういやぁ、あんまり最近買ってなかったなぁ。刺身にワサビをつけて食べられるようになってからはマグロと言えば刺身がいいだろうと思っていたから。そうか。好きだったのか。

 一緒に買い物で回ると新しい発見があるね。これもVtuberを始めたおかげといえばいいのかな?

「あ、じゃがいもが安い」

 広告の品で、こぶしよりも大きなジャガイモが1個20円。おひとり様5個まで。お人家族様じゃないから、私と優斗で10個買える!10個買っても200円なんて、破格すぎる!

 と、10個袋に入れてカゴに入れた。

「こんなに大量のジャガイモどうする気?」

 どうするって、ジャガイモなんてすぐに消費できるよ?カレーにも肉じゃがにもシチューにもポテサラにも味噌汁にも……あ。

「コロッケ作ろうか?」

 会社は休みだし。出向したらどれくらい忙しくなるか分からないから。作って揚げるだけの状態にして冷凍しておこう。


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