第210話 親の鉄拳! (2)
謝罪を続ける。
そう、続ける事しかできないからね。
僕はひたすら平謝りだ。
「ごめんさない。ごめんさない」とね。
「俺は本当に、何も知らなかったんじゃけぇ。ごめん。ごめんねぇ」の謝罪も付け加えてね。
「ちょっと、お父さん。陽も暮れたし、近所の目もあるけぇ。そろそろやめんさいぃ。外で一樹を叱るのは、頼むけぇ」と。
自身の拳を掲げたままで、僕の事を上から見下ろし、憤怒しながら睨みつけてくる親父に対して、僕のお袋が、慌てて背から抱きついて止めに入ってくれたのだ。
だから僕の親父は、「チッ」と、舌打ちをして、自身の振るい掲げる握り拳をおろして、と言うか?
多分おろしてくれたのだと思うのだ?
だって、家のお袋からの台詞が、この後とまった。
「…………」と。
静まり返ったようだから、多分ね?
でもさ、お袋の台詞の代わりに今度は、僕の親父から。
「一樹ー! お前ー⁉ 美紀ちゃんと洋子ちゃんの事をどうするつもりなんじゃぁー⁉ あんな小さな子を放置してのぅ。……儂は本当に情けねぇ。お前の事がのぅ」と。
親父が僕の事を、翔子ではなく、美紀の事で嘆くから。
僕自身が。
「……?」と。
首を傾げ、困惑するのだった。
◇◇◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます