第209話 親の鉄拳! (1)

〈ガラ、ガラガラ〉


「ごめん」と。


 言葉を漏らし、俯き加減で、玄関の扉をスライドさせた僕ではあるのだが。


 直ぐに。


〈ドン!〉だ。


〈ドン!〉と。


 僕の顔、頬に、鈍い音。


 自身の頬を強打された音が聞こえると。


〈バタン!〉と。


 僕は後方へと吹き飛ばされて、玄関の外、先で、横たわり。


「いつ、痛、痛、たたっ」と。


 悲痛な声を漏らすのだが。


 僕の顔を、頬を殴った者。


 家の父。


 親父の荒らしく高ぶった気は収まりつかないようで。


「一樹ー! お前ー! エルさんがいるのにー! 何を考えちょるんじゃぁあああっ!」と。


 僕は家の親父に怒声を吐かれたから。


「すいません」と。


「ごめんなさい」、


「本当にすいませんでした。御迷惑をおかけしました。許してください。お願いします」と。


 慌てて、横たわる自身の身体を起こし、憤怒、憤慨をしている。


 家の親父の前に土下座で謝罪。


 エルに対してした事への謝罪、許して欲しいと嘆願をしたのだ。


 それでも、家の親父の荒々しく高ぶった気は収まりつかないようだから。


 今度は僕の肩へと蹴りを入れてきたのだ。


 だから僕は後方へと転がるのだ。


 それでも僕は、凝りもしないで、慌てて上体を起こして正座。


 家の親父に向かい。


「すいません。御免なさい」と。




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