第208話 どうしよう?
(う~ん、どうしよう? どうしようか? 聞くべきか? 聞かざるべきか? う~ん、どうしたらいいのだろうか?)と。
自身の脳裏で、己と対話、問答を始めるエルなのだが。
彼女がさてさて、どうするべきか? と、悩んでいるのは、エルの碧眼の瞳に映る、自分の母親の事を幼いながらも心配し、頭を撫で労り。
「ママ、大丈夫?」と。
心配しながらいる少女、洋子ちゃんなのだが。
エルは少女の顔を注意深く見詰めるだけではなく。
少女の身体の奥底に眠る、隠れ、潜んでいる巨大な魔力を、自身の気で、魔力で、勇者としの力で察知しながら、エルは自身の顔を強張らせながら思案を続けているのだが。
このまま美紀を道路の脇で泣かす、嗚咽を漏らしたままの状態で放置する訳にはいかないから。
そうでなくても、只今エルと美紀、洋子の三人が佇む場所は、旧国道沿いの駐車場内だから。
通りすがりの車の運転手、助手席の者達が、美紀の嗚咽の様子を凝視する度に驚愕しているのが、エルの瞳に映るから。
尚更彼女は困ったちゃんへと変貌をしているのだ。
だからエルはこのままではいかん! いかん! と、思うから。
「あのね、美紀さん、少し聞きたい事があるのだけれど。正直に答えてくれるかな?」と。
エルは美紀に優しく問いかければ。
「うん! 何、エルさん?」と。
嗚咽を漏らしていた美紀が、自身の顔をあげ、頷いたから。
「もしかして、洋子ちゃんって、一樹の子供。娘ではないよね?」と。
エルは美紀の顔色を窺いながら尋ねると。
当に本人である美紀は、「…………」と、沈黙。
また俯き始めるのだ。
だからエルは、美紀に。
「正直に教えてくれるかな? 洋子ちゃんの事も含めて大変な事になる可能性もあるから」と。
エルは俯き、口を閉ざした美紀に対して、娘の洋子ちゃんが大変な事になるかも知れないから。
ちゃんと自分に説明をして欲しいと嘆願をすれば。
美紀は「うん、一君の子だと思う」と、小声でエルへと呟いてきたのだ。
だからエルの口からは。
「やっぱり」
と、声が漏れ。
その後は彼女が、エルが、今度はその場でめまい、立ちくらみ、倒れ、へたり込みそうになるのだった。
◇◇◇
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