第207話 元勇者様の疑問? (2)
でも、美紀の夫への不満と嘆きは、これだけは終わらない、収まりつかないのだ。
「……エルさん聞いてよ」
「えっ、何?」
「家の旦那はね。私に二人きりの時に、『お前、俺に隠れて、地元の誰かと浮気をしていただろう?』、『そいつの子だろうが、洋子は?』、『御父さん、御母さんも、浮気をして、他の男の子を身籠った美紀の事をどう思いますか? 僕が悪いと思いますか?』と、平然と告げてくるのよ。家の旦那が、家の両親へと。自分はちゃっかりもう、彼女作り、結婚の約束迄している癖にね」
「そうなんだ?」
「うん。だからね。私、旦那に言ってやったの、『私が洋子を妊娠したのは、あなたとお付き合いの最中に妊娠したのに、他人の子を身籠るなんてあり得ないでしょうに』と。私頭にくるから憤怒しながら罵声を吐いてやったの。するとね、今度は家の旦那が。『じゃ、美紀! そんなにも洋子が俺の子だと自信があるのならば。病院行って、洋子のDNA親子鑑定、検査してこいよ。それで俺と洋子の親子関係が証明できたら、慰謝料と洋子の教育費は払ってやるから。明日にでも行って来い。分かったなぁ?』と、家の両親の目の前で問いかけてくるからね。私も家の旦那にどう説明をしていいか解らないと、言うか? その時についついと慌てふためいてしまい。自身の顔色を変えて『あ、あのね。あ、あのさ』と、どもる。言葉、台詞にならない様子で呟いたらね。私お父さんに、いきなり横から顔を拳で殴られて、そのまま畳に頭を押さえつけられて、家の旦那に謝罪をしろ! 今直ぐに! って、荒々しく告げられ。家の両親と一緒に、家の旦那へと平謝りをした。させられたの。私何も悪い事。浮気等していないんだよ。全部悪いのは、私を騙した家の旦那なのに……」と。
まあ、エルが美紀の愚痴や嘆きを聞いても、首肯するぐらいしか出来ない言葉を美紀は、余程夫に対して不満やストレスを抱えているのか。
美紀はこのように長々とエルに不満と嘆きを漏らしてきた。
でっ、エルはそれを!
そう、美紀の不満と嘆きを聞き、ある疑問と疑惑がエルの心の中に生まれ、湧き。
嗚咽を漏らし、夫の不満や嘆きを漏らす、自身の母の事を、未だ幼い瞳で心配そうに見詰める洋子ちゃんへと視線を変え。
エルは脳裏で、(まさか?)と、思うのだった。
◇◇◇
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