第205話 元カノ様は? 元勇者様が怖いようです

「あのね、エルさんも知っている、と、言うか? 一君から聞いているかも知れないけれど? 私達再度お付き合いをしていたの、一君とね……」


「ふぅん、そうなんだ? 」


「うん」


「でっ、美紀さん? それが、私が貴女の言葉を聞き、怒ると言った事と、どう関係がある訳なの?」と。


 相変わらず俯き、エルと目を合わせないよいに口を開く美紀なのだが。


 彼女は、自身の口の中に、何かを含んだ様子……。



 そう、小声で呟き、囁きながら。


 しどろもどろで美紀は、エルに囁くのだ。


 もう、それこそ?


 エルがエルフ種族でなければ、聞きとれない程の小さな小声で囁くものだから。


 エルは更に不快感を募らせながら、威圧のある声音で美紀へと問いかけるから。


「だってぇ~。エルさんが怒っているのだもの。どう見ても。だから私怖くて」と。


 元ヤンキーの姉ちゃんであった美紀の事を震えあがらせる程。


 今の元勇者で将軍様、伯爵令嬢でもあるエルは怖い! 恐ろしい顔! 形相をしているみたいなのだ。


 と、いうか?


 遠目から、傍から、エルの麗しい顔を凝視しても、自身の顔の眉間に皴を寄せ、憤怒、憤慨しているのが、一目見てわかる程険しい顔をしているから。


 流石に美紀も女の勘と言う奴で、これ以上エルの事を怒らせてはいけないと、己の身を竦め、怯えている状態なのだよ。


 でも、このまま美紀が、エルに何も説明しない様子でいれば。


 エルがこの場から立ち去ってしまうだろうから。


 美紀は、勇気を振り絞り更に説明、話しを進める為に、自らの口を開くのだった。



 ◇◇◇

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る