第204話 えっ! また! 嘘でしょう? (3)

「家のひとがね。この子の事を、自分の子じゃないからいらないと、私に言うのよ。エルさん」と。


 美紀は自身の口を大きく開け、空を見上げながら『ワンワン』と泣きながらエルへと、自身の夫への不満を嘆いてくるのだ。


 だから流石にエルも美紀の事を無視して、一樹の里、実家へといく訳にはいかないから。


「美紀さん?」と。


 再度声をかけると。


「何、エルさん?」と。


 美紀が泣き、空を見上げる行為をやめて、言葉を返せば。


「美紀さんの旦那様が、洋子ちゃんは、自分の子じゃないからいらないって言っているようだけれど。一体どう言う事なの?」と。


 エルが問えば。


「…………」と。


 美紀は、今度は俯き黙り込んでしまうのだ。


 だからエルは、「はぁ」と溜息をつき仁王立ち。


 自身の括れた腰に手を当て──小さな子にでも問うように。


「美紀さん、俯き黙り込んでしまったら。私には何も解らない。だから私は美紀さんの相談にものる事もできないから。もういくわよ」と。


 エルは呆れた声音で、美紀に問うのだ。


「……怒らない、エルさん?」


 エルの呆れ声音での問いかけに対し、美紀はこんな言葉を返してきたのだ。


 何故だかわからないけれど。


 でっ、当の本人であるエルの方も、美紀の様子に関して、『美紀さんの様子が、少し可笑しい気がする』とも思わず、彼女は考えもしないで安易に。


「ええ、怒らない。怒らないわよ。美紀さん。だから早く言って」と。


 エルは美紀に催促をしてしまう。


 だから美紀は自身の顔を上げ。


「じゃ、今から言うね」と。


 エルの碧眼の瞳を真剣に見詰めながら。


 美紀は、自身の口を開くのだった。



 ◇◇◇

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