第203話 えっ! また! 嘘でしょう? (2)
皆も知っての通りだ。
だってエルには、翔子のお腹の中に、自身の夫……。
そう、この日本でも戸籍、住民票を照らし合わせても問題無い。間違いない。
夫である一樹の子がいるかも知れない疑惑、問題を抱え。
エルは、どう解決しようかと困惑しながら悩んでいる最中だから。
実際は、他人の事を考えてやる程暇などないのだよ。
でも、彼女の性格上、自身を頼ってくる者を蔑ろ、放置する事が出来ない性格のエルだから、自身の歩行が止まり、立ち止まっている状態なのだ。
そんなエルに美紀は、相変わらず『シクシク』と、涙を流しながら。
自身の首を振り。
「もう、無理なのエルさん。私と家の旦那との関係は。もう修復できそうにないの。もう既に、お互いの両親を交えての話し合いも終えている状態だから」と。
美紀はまた俯きながら小声で力無く、エルへと呟いてきたのだ。
「えっ! そうなの?」
「うん、そうなの、エルさん」
「何で! 何が! 駄目だ! と、言っているの? 美紀さんの旦那様は?」と。
エルが美紀に、自身の首を傾げながら問うと。
更に美紀は俯き、沈んだ顔で。
それも、更に激しく涙をポロポロ落としながら。
そう、自分達三人の近くを通る、自動車の運転手や助手席の人達が慌てて振り返る程美紀は、その場で泣き始めるのだ。
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