第167話 エルフな勇者さまは、日本で商いを始めました!(6)

 う~ん、でも、皆さんも知っている通りで、家の奥さまは、宇宙から飛来をした金髪碧眼のエルフさまで、元勇者。将軍さま。だけど、伯爵家の一人娘だと言っていた。告げていた。お嬢さまのようだから。


『ああっ、家の家内。妻は金星人ですよ』とも言える。告げることもできないからと。僕が説明をしたところで皆さんは、『何故、金星人なの?』と、思ったのではないかと、思われるのだが?


 昭和世代にSFアニメや漫画、特撮と。特に幼い頃から特撮ヒーロー達。宇宙、光の国から飛来をした正義の味方や某怪獣シネマ。未だに銀幕で上映されれば大人気である。円〇プロダ〇ションが誇った二大スターに、幼少期から脳を侵されている世代だから。何故か僕の脳裏に、金髪碧眼とくれば金星人でね。


 それを家の奥さまに告げると。


「一樹、金星人って、何?」と。


 僕は逆に問われたから。


「わからん。わからない」、(あっ、はははっ)と。


 自身の後頭部に掌を当て、笑って誤魔化した記憶もあるほど。あの当時。あの当時、昭和の終わりの時代。もうすぐ世紀末。ノストラダムスの大予言──。


 空から恐怖の大王が降り立つのだと大騒ぎをされていたにも関わらず。やはりファンタジー要素よりもSF要素が未だ強い時代だった気がするかから僕は、自身の妻エルが金星人だと数年は思っていたぐらいだからね。


 パートのお姉さま達にも、『家の嫁は金星からきた。エルフのお嬢さまなのですよ』と、笑いながら告げることもできないのから。


「家の嫁は、北欧の奥の方の国が故郷なのですよ」と。


 僕は、自身の後頭部へと掌を当て、笑い誤魔化しながら告げてみたのだ。





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