第6話 それより、寝床どうしよう!?

「どうしよう。どうやって説明すれば……」

「いや、それよりノゾム。お前は今日のコトを、心配しないといかんのでは?」


 深刻な顔で、ユキヤがボクを問い詰める。


「と、いうと?」



「ノゾム、お前。セーナちゃん、どこで寝かせるんだよ?」



「そうでした」


 失念していた。セーナさんの寝室がない。


「ボクがホテルかどこか取って、休むことにするよ」


 スウェットとタオルを、カバンに詰めようとした。


「いえ、そんな!」


 それがベストかなと思ったが、セーナさんは拒絶する。


「姉さん、今晩セーナさんを泊めてやれよ」


 ユキヤが提案した。


「ウチは、ダメよ」


 腕で、アキホさんがバツを作る。


「どうしてさ!? 同じ女子だし、セーナさんのこと気に入ってるじゃん!」

「だけど、ダメ。ホントは女子トークしたいんだけど、ダメ。ここは、心を鬼にします」

「理由を聞かせろよ!」

「……セーナちゃんの顔を見なさい」


 ボクは、セーナさんの方を向く。


 こころなしか、しょんぼりしているような。


「自分は邪魔なんじゃないかって、落ち込んでるのがわからない?」

「あ、そっか。悪かった」


 ユキヤが謝罪すると、セーナさんは頭を下げる。


「いいえ。ご面倒をおかけします」


 気まずい空気が、ボクの部屋に流れた。


 流れを変えたくて、全員で洗い物をする。


「グズグズしていないで、二人で寝なさい」

「え、ちょっと。やばいって! 二人はまだ若いのに!」

「いいじゃん別に。両思いっぽいし。いっそ恋人にでもなっちゃえば?」


 アキホさんが、とんでもない発言をした。


 あやうく、ボクは拭いていたお椀を割りそうに。


「姉さん、いくらなんでも横暴だって」

「いえいえ。これがベストだから。じゃ、何かあったら連絡ちょうだい」


 エプロンを外し、アキホさんが靴を履く。

 玄関を開けた直後、セーナさんに向き直った。


「それとセーナちゃん、今度女子会しましょ」

「はい。楽しみにしています!」

「ありがと。じゃあ。明日はお着替えとか、あたしのお古を用意するわ。お買い物もしましょ」

「はい! お気をつけて!」


 今度こそアキホさんが、帰ってしまった。ユキヤも一緒につれて。


「まいったね。とりあえずお風呂入ってよ」


 台所の湯沸かしボタンが押されたままな上に、浴室のお湯が溜まっていた。てっきり、食器を洗うためだとばかり。


 お風呂を溜めて帰っていくとは、どれだけ女子力高いんだよ。アキホさんは。


「お先にどうぞ」

「ムリ。女子の前とか、気を使っちゃう」

「では、ありがたく湯をちょうだいしますね」


 セーナさんは、浴室へ続くフロアのカーテンを閉めた。


「石けんとかわかるよね? 使い方がわからないものがあったら言ってね」

「大丈夫です。情報は共有しているので。着替えは、こちらでご用意しました。お気になさらず」

「あと、後ろ向いておくね!」


 脱衣中のシルエットが丸見えになっていたとか、言えないよ!

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