第23話 沖田壮馬は運転ができる ※冒頭に注意書きがございます

 数少ない拙作の読者様、ごきげんよう。

 作者でございます。


 今回の23話、実は22話でした。

 何を言っているのかお分かりになられないかもしれませんが、私も何を申しているのか分かりません。


 前話でいきなりキャンプ場についていて「はて?」と思い、確認してみましたところ、普通に22話をすっ飛ばして更新しておりました。

 幸いと言いますか、拙作は既にカクヨムコンから戦線離脱気味ですので、「これ、順番前後するけど普通に更新しちゃえ」と言う、横着をする事に致しました。


 要点を纏めますと、今回のお話は、前話の前のエピソードでございます。

 要点を纏めようとしたのに、たった1行の文章が訳の分からないことになり、物書きとしての技量の稚拙さに絶望しております。


 それでは、何事もなかったかのようにバーベキュー大会の朝のシーンをお楽しみください。

 そして信じて下さい。猛省しております。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 壮馬は車の免許を持っている。


 3年間の和菓子屋稼業では商品の配達も彼が受け持っており、運転技術もそれなりに培われていた。

 自分の車こそ持っていないが、そこは勝手知ったる自家用車。


「ごめんね、親父。車借りちゃって」

「バカ野郎、この野郎! 何遠慮してんだ! 休みの日にわざわざ焼肉パーティーを開催してくださる上司さんがいるってんだろ!? いい事じゃねぇか!!」


「本当にね! 梅雨の晴れ間にも恵まれたし、今日は良い日になりそうだよ!」


 壮馬が雲もまばらな晴れた空を眺めていると、道行く人が振り返る美少女が歩いて来た。

 彼女は元気に手を振って、壮馬の名を呼ぶ。


「おはようございますー! 壮馬さーん!」

「あっ、莉乃さん! おはようございます!!」


「今日はお招きありがとうございますー! 楽しみで早く目が冷めちゃいましたー!」

「俺もですよ! 日菜さんも! おはようございます!」


 莉乃の後ろで小さくなっている先輩を見つけた壮馬は、大きな声で挨拶する。


「ふぎゅっ!? お、おは! おは、おはようござ、おはようございます!!」

「日菜さん、ワンピースがよく似合ってますよ!」


(ほ、ほ、褒められたー!! 沖田先輩に褒められたー!! 何着ていくか迷って良かった! 服なんて全然持ってないけど、悩んで選んだヤツ褒めてもらえると嬉しい……!!)


 日菜は心の中で小躍りしつつ、冷静に対応する。先輩らしく。


「ど、どうも」

「莉乃さんも可愛いですよ! スタイル良いから何を着ても絵になりますね!」


「あははっ! ありがとうございまーす! お姉ちゃんと差別化を図るべく、ショートパンツにしてみましたー。壮馬さん、意外と女子の服とか見てくれる人なんですねー」

「そりゃあ見ますよ! お二人とも可愛らしいですから! おっと、暑いですよね。車、エアコン利かせてありますから、どうぞ! じゃあ親父、行って来る!」


 壮馬の父は大きく頷いた。


「オレぁお前がこんなに甲斐性のある男に育っちまって、感無量だ……! 行って来い、壮馬! どこまでも先へ! オレの知らねぇ道の果てによ……!!」


 父に見送られて、壮馬の運転する車はまず杉林駅を目指した。



◆◇◆◇◆◇◆◇



「しまったわね……。まさか、私が2人の邪魔をする事になるなんて……。でも、仕方ないのよ。沖田くんの気遣いを無視できないじゃない! 彼、すっごく良い顔で言うんだもの! 私だって女子なんだから、あんなレディーファーストされたら断れないわよ!!」


 藤堂真奈美は駅前で憤っていた。


 彼女はこのバーベキュー大会で壮馬と日菜をいい雰囲気にする事に命をかけていたが、その初手である車移動の空間に自分が加わるのは想定外だった。

 金曜の終業後に「藤堂先輩って日曜日どうするんですか?」と壮馬に聞かれた彼女は「電車とバスを乗り継いで行くわよ」と素直に答えた。


 悪手であった。


 壮馬の性格を考えれば、「じゃあ、是非一緒に行きましょう!」と誘われる事は充分に予想できた。

 彼女は己の油断を悔いていた。


「いや、待って。真奈美、ここはプラス思考よ! 車中で2人をいい雰囲気にする手伝いができると考えるのよ! そうよ、そう考えれば……!!」


 真奈美がイベントが始まってもいないのにセルフ反省会を開いていると、1台のSUVが彼女の前に停まった。

 窓が開くと、そこには壮馬。



「お待たせしました! 藤堂先輩! おお、私服もキリッとしていてステキですね! さあ、どうぞ中へ! すみません、暑い中お待たせしてしまって!」

「いや、イケメンか!! ……ああ、ごめんなさい。わざわざありがとう」



 爽やかな朝の挨拶から流れるように私服を褒められ、そのままの勢いで気遣いの言葉を投げつけられた真奈美は思わず叫んでいた。

 沖岩を推し始めてから、彼女の情緒は時々不安定になる。


「あら、助手席は小岩井さんなのね。おうふ」

「はじめましてー。藤堂さんですよね? 姉からお話をよく聞いていますー! 想像通り、ステキな人でしたー! あたし、日菜の妹の莉乃と言いますー!」


「……妹さん!? 背も小岩井さんより高いし、スタイルも良いわね!? 高校生だって聞いていたけど、大人っぽいし!! ……はっ!」

「ふみゅ……」


 真奈美は「今日は絶対に推す」と決めていた日菜をのっけから叩いている事に気付き、深く反省した。


「ええと、莉乃さんだったわね。よろしくね」

「はいー! 到着するまで、会社での姉のお話とか、壮馬さんのお話、聞かせて下さーい!」


 カーナビに目的地を入力したら、いざ出発。


「あ、そうそう。藤堂先輩!」

「どうしたの? なにか問題があれば、私に言ってちょうだい! 何でもするわ!!」



「ああ、いえ。俺は莉乃さんのいる時は小岩井さんの事を日菜さんとお呼びしているので、藤堂先輩にもお伝えしておいた方が良いかなと思いまして!」

「……ほぉう! 休日の名前呼び! 尊みが溢れ出して止まらない! 尊みの宝石箱や!!」



 情緒を著しく不安定にした真奈美も乗せて、車は一路バーベキュー大会の会場である東丘キャンプ場を目指す。



◆◇◆◇◆◇◆◇



「あ、あの、沖田くん。えっと、そのね、ふみゅ」

「はい! 日菜さん、トイレですか?」


「ち、違います! のど渇いたかなと思って。その、お茶、淹れてきました。飲みますか?」

「本当ですか? お気遣い嬉しいです! 是非いただきます!」


 日菜は不安そうな表情をパァッと明るくして、元気よく水筒を取り出した。

 慎重にカップに中身を注ぐと、壮馬に手渡す。


「ど、どうぞ。レモンティー、淹れてきました。甘くしてある……ので……」

「……うん、美味しい! 俺がレモンティー好きだったの、覚えてくれていたんですか?」


「た、たまたま! 偶然、昨日の夜に、あの、思い出したので! 偶然!!」

「ははっ! 嬉しいです! 高校生の頃によく放課後、飲みましたよね! 日菜さんはミルクティー派だったなー! 懐かしいですね!」


 日菜はしばらく何と答えたものか考えたのち、「ふみゅ」と鳴いた。


「藤堂さん? 前かがみになられてますけど、大丈夫ですか? もしかして酔いました?」

「ええ。気にしないでちょうだい、莉乃さん。ちょっとね、押し寄せて来る尊みに酔っただけだから。前かがみにもなるってものだわ。これは強烈……」


 日菜に莉乃に真奈美。

 彼女たちは三者三様の思惑を抱いている。


 だが、沖田壮馬は気付かない。


 車だけは順調にルートを守って走っていた。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 次話は22話の続きになります。

 本当に、時空を歪めてしまいまして、反省の言葉もございません。


 大変申し訳ありませんでした。


 反省の言葉が見つかりましたので、ノートパソコンの画面に向かって頭を下げながらカタカタターンとやっております。

 本当です。信じて下さい。

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