第49話 4-11 ダンジョンマスターと開花
巨大な扉を開きながら、三人は最後の部屋へ足を踏み入れる。
その部屋は、円柱の形をしており、床には魔法陣のような文様。
そして青白い炎を燃え上がらせる松明が周りを囲む。
その中心に存在するのは、オークの王
直後扉がしまり魔獣はこちらを見て叫ぶ。
「ギャオオオオオオオ!!」
直後脳に響く聞きなれたシステム音
『Bランクダンジョン 豚の饗宴 ダンジョンマスター オークキングとの戦闘を開始します』
その音声と同時に、戦闘の火ぶたは切って落とされた。
ここに豚の王と3人の少年少女の戦いがはじまった。
「予想はしていたけど、やはりオークキングね。ゴブリンキングとどちらが強いのかしら」
「わからない。僕たちも強くなっているが同等の強さだとしたら侮るわけにはいかない。あの時もギリギリだったからね」
「すごいプレッシャーだな。これがAランクか」
佐藤は、オークキングのプレッシャーに身震いする。
しかし臆さない。一人なら泣き叫んでいただろう。
でもこのメンバーならきっと勝てる。御剣剣也ならあの魔獣にだって負けない。
この安心感 これが英雄ということなのか
佐藤はすでに認めていた。御剣の精神力そして、包容力とでもいうのだろうか、そばにいて安心する。こいつがいればきっとなんとかなる。そんな何とも言えない感情に。
「俺が基本的に切り結ぶ、静香と佐藤は隙をみて攻撃を入れてくれ!」
「「了解!」」
そして剣也はオークキングと相対する。
オークキングは斧を振り下ろす。
「ぐっ!」
剣也は、閻魔で受け流す。
やはり威力は、ゴブリンキングと同等。力だけでいえば上回ってすらいる。
しかし剣也も筋力トレーニングを繰り返してきた。
たくさんクエストもこなしてきた。今の剣也ならこれぐらい受け流すのは容易だ。
そして発動する護りの剣豪
身体能力10倍の剣也は、オークキングの攻撃を受け流すのではなく、正面から止める。
そして、そのまま反撃し、キングの体に傷をつける。
「ギャアア!」
キングがのけ反る。そこへすかさず佐藤が300キロの突進で剣を突き刺す。
痛みを感じるかわからないが、痛みに顔をゆがめるキングへダメ押しの静香の一刀
そして発動するパラライズ。
一瞬動けなくなったキングの首を剣也が10倍の身体能力で閻魔を使って跳ね飛ばす。
完璧な三人の連携 もはやAランク程度では、この3人は止められない。
いや、剣也一人でも止められなかっただろう。
『ダンジョンマスター オークキングが討伐されました。
Bランクダンジョン 豚の饗宴の攻略を確認しました。報酬処理に入ります。』
直後なるのは、ダンジョンクリアの報告。
やはり、ボスを倒すことでダンジョンクリアとなるのか。
そして報酬? 確かにダンジョンでは、魔獣を倒してもポイントがもらえなかったが、この最後でもらえるということなのか。
『貢献度3位までと報酬を発表します。報酬は3位までしか与えられません。
1位:御剣剣也 1000万ポイント+ 初回クリアボーナス:始まりのタネ
2位:二菱静香 100万ポイント + 初回クリアボーナス:始まりのタネ
3位:佐藤一世 1万ポイント + 初回クリアボーナス:始まりのタネ』
「すごい報酬ね。これがダンジョンのメリットというとこかしら。3人だから3位なのかしら、それともそもそも3位までしかもらえないのかしら」
「さぁ、どうだろう。多分3位までしかもらえないんじゃないかな。報酬は3位までといってるし」
「始まりのタネ、これで私も二つのギフトを持つことができるのか。とはいえ二人とももらえたんだな。これはまた離されてしまったな」
佐藤は笑って答える。その目には嫉妬の心は浮かんでいない。
かといって諦めたわけではない。努力しよう。努力してこの二人に追いつくんだ。
今は敗北を認める。そしていつか追い越して見せる。その決意が彼の心の靄を晴らした。
そしてそれぞれが発芽処理のアナウンスが流れる。
静香と佐藤は、キャンセルしたようだ。
「Aランクまで貯めるわ。今すぐ力が欲しいわけじゃないし」
「あぁ、私もそうしようと思う。はるか遠いがね」
Aランクギフトの発芽に必要なポイントは、200万ポイント
静香はあと100万ポイントに近いが、佐藤はほぼ200万ポイントだ。
遠い道のりだが、いつかクリアできるだろう。
そして、俺の発芽処理が入った。
「俺もSランクまで貯めようかな。2億ポイントなら何とかなりそうだ」
『Sランクギフトの取得は、心の鉢以外では、2億ポイントが必要です』
システム音声が答える。それは前聞いたよ。
『ただし、Sランクギフトを発芽させるには、開花されたギフト3つ以上が必要となります』
は? 開花? なんだそれ、初めて聞いたぞ。
『開花とは、発芽したギフトの能力を向上させることです。Aランクギフトを3つ以上持つもののみが実施できます』
ここで新要素の登場か。開花には何ポイントいるんだろう。
『Aランクギフトの開花には、一億ポイント、Sランクの場合は200億ポイント必要です』
そんな気はしてました。桁が違うよね。
これはクエストで到達するのは無茶だな。ダンジョン周回か。
『一度クリアしたダンジョンでは、二度とポイントはもらえません』
わぁー周回もダメだって、これは日本全国ダンジョン巡りが始まるのか。
とりあえずAランクギフトをもらわないとな。
そして、剣也はAランクギフトの発芽を承認する。
これで剣也残りポイント数は、以下のようになった。
攻略情報 攻略数 獲得ポイント数
Sランククエスト 0 0
Aランククエスト 2 2000000
Bランククエスト 22 220000
Cランククエスト 15 1500
Dランククエスト 8 8
Sランクダンジョン 0 0
Aランクダンジョン 0 0
Bランクダンジョン 1 10000000
うち消費 4000000
合計 8221508
『適切なギフトを選択します。よろしいですか』
ああ、前回同様選択してくれるんだな。なにがでるか。
『了解しました。剣を用いた戦闘スタイルから、以下のギフトが候補として上がりました。』
1.魔神剣
一定の動作から繰り出される一撃
次の一閃のみ10倍の身体能力で行動可能
2.剣聖
身体能力常時3倍 剣と認識したものを所持しているとき5倍
3.神剣召喚
決して折れない、傷つかない剣を1本自由にいつでも召喚できる。
前回から二つ変わっていない。
悩むな。神剣召喚は正直閻魔で十分なので、省く。
後は、魔神剣と剣聖か。どちらも捨てがたい。
その時思い出すのは、姫野との模擬線
その第一刀 今回もそうだ。自分から攻撃する手段が俺にはない。
そういう意味では、魔神剣だろう。しかし一定の動作というのがポイントだ。
つまりこれも条件付き。汎用的な力が欲しかった俺が選ぶのは。
剣聖にする!
『了解しました。個体名 御剣剣也に剣聖のギフトを発芽します。これによりAランクギフトを3つ所持したため開花が解放されました。開花に必要なポイントがたまっていませんので、開花処理は省略します』
「終わった?」
「あぁ、Aランクギフト3つだ。それに開花ってのが解放されたらしい。詳しくは帰ってからはなすよ」
「ええ、お願い」
『ダンジョンをクリアしたため、ダンジョン入場地点に転移します』
そうして3人の視界は暗転した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます