第40話 4-2 特進クラス
4人の生徒がそこにはいた。
「よぉ! 御剣君やんか
さっきのスピーチは感動したで!」
関西弁で話すその少年は立ち上がって、剣也の元まで歩く。
そして手をだし、握手を求めた。
「わいは、星
星彪雅君か。大阪人という感じの見た目だな。髪は逆立ち、八重歯が見える。
商売がうまそうだ。
剣也は差し出されたその手を握り返し、答えた。
「あぁ、よろしく星君」
「やめぇ、やめぇ寒イボたつわ。
彪雅でええで。地元じゃみんなそう呼んどる。」
「そう? なら俺のことも剣也でいいよ。みんなそう呼んでる。」
「ほんまか、ほならそうさせてもらうわ。
こないな有名人と仲良うなれるなんてラッキーやな。」
彪雅はそういって手を頭の後ろにのせ、笑って答える。
明るい人だ。そこぬけに。
剣也の彪雅への第一印象は、とても好印象だった。
「あ、さっきまで話しとったんやがな。
あそこのゴリラみたいな体形の禿は、
ええ奴やで、なかようしたってな」
「誰がゴリラじゃ。よろしく剣也 俺も武ってよんでくれ。
実家は寺でな、こんな頭好きでやってるわけじゃないぞ。
彪雅とは、関西の魔獣討伐で何回か一緒にやってな。そのつながりだ。」
「あぁ、よろしく武
すごい体だな。鍛えてるのか?」
「ああ、そうなんだ。みたところ剣也も鍛えていそうだな。
触ってもいいか?」
「は?」
そういって武は、立ち上がり剣也の前に立つ。
そして剣也の返答を待たずに大胸筋に触れた。
「素晴らしい。なんとバランスのいい筋肉か
戦闘に特化させたような筋肉 惚れ惚れする
あぁ、上腕二頭筋もすばらしい さすが剣士だ」
武は剣也の体をいやらしい手つきでまさぐり始めた。
「ちょっと待て、触りすぎた。そしてなんかすごく嫌だ」
剣也は拒絶する。なんだろう早乙女さんと同じ雰囲気を感じる。
「す、すまん 興が乗ってしまった。
また筋肉について語ろうじゃないか、この学校のジムは見たか?
素晴らしい施設だったぞ」
「あぁ、また機会があれば」
剣也はひきつった顔で答える。
「ははっ! 引かれとるやんけ。
すまんすまん、剣也 こいつ筋肉が好きでな。
寺生まれやから筋トレぐらいしかやることなかった弊害やねん。
許したってや。」
それだけじゃない雰囲気を感じるが、それは言わないでおこう。
「ねぇあたしも挨拶していい?」
声を上げたのは、机に座っている黒ギャルだった。
すごいミニスカートだ。あ、見えそう。もうちょっと足上げてもらっていいですか?
それにピアスとメイク、武器かと思うぐらいのその付け爪
肌は人工的な黒さ、これは日サロで焼いてるのか?
特に胸がエロい。みせブラというやつなのか?
胸元をあけ、ブラが見える。谷間も見えそう。もうちょっとかがんでもらっていいですか?
「あたし、黒田美鈴! 美鈴でいいよ。よろしく剣也」
そういって美鈴は、俺の腕に腕を絡める。
何ていい匂いだ。それにむ、胸が。
「あててんのよ」
美鈴は、上目遣いで俺に言った。
え?誘われてる?
「ねぇ~え、剣也~LINE交換しよ~」
美鈴は猫なで声で、俺に頼んでくる。
交換しよう。そうしよう。
しかしなんて距離間だ。これがギャルなのか。
あ、やばい。落ち着け、息子よ。まだ慌てるような時間じゃない。
「ちょ、ちょっとあなた! さすがに近すぎるんじゃないかしら?」
静香が割って入り、ギャルをはがす。
助かった。俺の力では彼女から逃れることはできなかっただろう。
すごい力だった。決して俺が弱いわけじゃないぞ。
「あー生徒会長だ! よろーーー!
でもこれがあたしの距離感だし。別に彼女じゃないならよくない?
あれ? もしかして付き合ってる?」
「な! か、彼女なんかじゃありません!
風紀が乱れるのを懸念しているだけです」
「わぁ~すごい生徒会長っぽい。でも実はむっつりそ~」
「な、なにをいってるんですか!」
「そろそろ席に着き給え。予冷がなるぞ 御剣剣也」
そこで間に入ってきたのは一人だけ着席していた眼鏡の男
「あ、ごめん。 君はー」
「佐藤
なんか敵視されている? 声にとげがある。それに視線が痛い。
キーンコーンカーンコーン
「よーし、出席をとるぞー。座れー御剣いるかー?」
「いますよ。ってかここでは、ボーダーラインとは言わせませんよ?」
「はは、英雄様は違うな。 冗談だよ」
そういって冗談交じりに入ってきたこのクラスの担任は、我らが小御門先生だ。
八雲さんが、この世界に起きた異変にも順応できる信頼できる先生はいないかと頭を抱えていたので、推薦しておいた。
この先生ほど、ゲームのようなこの世界に順応し、かつ俺が信頼できる人もいない。
そういったら、二つ返事で八雲さんは了解してくれた。
君が言うなら間違いないと。
その話を小御門にしたとき
給料のことを伝えたら二つ返事で答えた。
正直これからどう生きていこうか悩んでいたらしい。
渡りに船だと。これで課金に使うお金に悩まなくて済むと。
好きな配信者についつい投げ銭してしまうから貯金もないらしい。
この人は、どこで道を間違えたのか。
こんなに美人なのに。
「では、みんなの自己紹介からしてもらおうか。
その前に私の紹介だな。 私の名前は小御門優香 担当は国語だが
このクラスでは、担任としてギフトのことや、クエスト、塔のことなど
今わかっていることをみんなに共有する役目も担う。 よろしくな」
「では、順番に行こうか」
そして全員が自己紹介をした。
さきほどと特に変わらず 名前と出身地ぐらいを話すこととなった。
俺と静香、そして佐藤以外は全員関西出身で、佐藤は同じ東京らしい。
「よし、自己紹介も終わったところで、親睦を深めようか、
この学校は戦闘訓練用の施設もあるから、全員でギフトの把握もかねて戦おう
これから命を預ける仲間だ。 能力ぐらい知っておいて損はないだろう」
戦闘か。いきなりだが、俺たちは仲良しごっこをしにこの学園にきたわけではない。
なら仲間の能力の把握は最優先でやるべきだろう。
みな同じ意見なのか特に反論もなく席を立つ。
そして小御門は、特進クラスを戦闘訓練用の部屋、通称戦闘ルームへ連れていく。
「よし、ついたぞ」
そこは、まるで、映画でみるような能力を測定するための施設。
周りは鉄のパネルで囲まれ、上からガラス越しに観戦できる。
まるで実験台にでもされているような気分になる。
しかしここなら相当無茶しても問題ないだろう。
「戦闘は、決闘モードで行うように。ここでケガでもされたら私の給料が減給される」
ナンバーズ同士が戦闘を行う意思を見せた瞬間ウィンドウが立ち上がり選択できるモード
初めてこれが発現したのは、ナンバーズ同士のケンカだったらしい。
俺も静香と何度かこのモードで模擬戦をしている。
完全に格ゲーと同じで頭上に現れる体力ゲージが0になれば敗北となる。
また部位なども損傷したと見なされれば使用不可になる。
モードが終了すれば解除されるが、どこまでもゲームのような世界だ。
まぁギフトや、魔獣などが普通になっているこの状況では、今更驚かないが。
「では、だれがだれと戦いたいなどあるか?」
「はいはーい、私女同士でやりたーい。しずしず! いい?」
「しずしず? まさかとは思うけどそれは私のことをいってるのかしら。
私の名前は、静香なのだけれど」
静香が腕を組みながら、冷たい目で美鈴を見ている。
まるで、ゴミをみるような冷たい目線だ。久しぶりに見たあの目。こっわ。
「えーいいじゃーん。だめ?」
美鈴は、めげない。なんて精神力だ。だてにBランクではない。
「いいでしょう。戦いましょうか
呼び方はそのあとゆっくりと教えてあげましょう」
静香は笑ってこたえる。正確には目以外が笑っている。
これが女同士の戦いなのか。こっわ。
「んなら、わいは、剣也と戦いたいな。胸かしてくれや」
「いや、俺も剣也とやりたいと思っていた。なぁ剣也 ヤらないか?」
やめろ、カタカナにするな。変な誤解を生む。
「すまない、二人とも。ここは私に譲ってくれないか
彼とはどうしても戦っておきたいんだ」
そういうと佐藤が一歩前にでる。
「なんや、自分えらい熱いやんか
そんなタイプやったんやな。んなら今日は譲ったろ。
剣也! また今度頼むで!」
「あぁ。剣也 また今度ヤろう。」
そういって二人は引き下がった。
「私のことを知っているか? 御剣剣也」
「ん? いや、初対面のはずだと思うが、どこかであったか?」
「あぁ、初対面だろうな。 だが俺はずっとお前をみていたぞ
お前を超えるためこの半年死に物狂いでクエストをクリアした、戦闘訓練もだ
ここで俺はお前を倒して、認めてもらう」
佐藤は、そういって全員に配られている護国刀を俺に向ける。
閻魔とまではいかないが、十分最高峰の刀だ。
入学と同時に、希望者には配られている。
なんだ? なんでこんなに敵対されているんだ?
「あ、そうそう。この戦闘は校内中で流されているからそのつもりでよろしくな」
楽しそうに小御門先生は、突然の事実を告げてくる。
なんて余計なことをと思ったが、他の人の戦闘を見るのは勉強になるので仕方ない。
「じゃあ、御剣と佐藤が第一戦でいいな。よし二人とも決闘モードで始めろ!」
二人が戦闘ルームに入り構える。
ここに英雄の少年と、その英雄を敵視する少年の戦いが始まる。
「はじめ!!」
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