第四章 新たな時代

第39話 4-1 新しい時代

時は進み 20XX年 春

桜舞う季節 御剣剣也は、希望の学園の門に立つ。


そして一歩を踏み出した。

新たな時代の幕を開けるように。


「ここが、神の子学園か

さすが新しい校舎だけあって綺麗だな」

今日の予定は、入学式そしてクラスの顔合わせだ。

入学式では、八雲さんに挨拶を頼むといわれたので引き受けている。

内容は八雲さんにお願いしたら、君ならば自分の言葉で伝えられるはずだ。と言われたので

自分の思っていることをいうことにした。

テレビじゃないんだ、相手は学生。

多少間違いがあっても問題ないだろう。


「ねぇ、あれ剣也君じゃない?」

「まじ?」

「ほんとだ、やっぱり入学するんだ、サインもらってこようかな」

「かっこいい。彼女とかいるのかな」


女性陣の黄色い声が聞こえる。

入学した254名のうち約半数が女生徒で男女比率はほぼ5:5だそうだ。

なので普通に女生徒も多い。

半分が女性ということは、もう半分は男性ということで


「ケッ!」

「英雄様はモテモテですな」

「やりまくり、勝ちまくりかよ」

「かっこいい。彼氏とかいるのかな」


しっかりと男たちの殺意の視線も感じる。

一人同じようなことを言っている男もいるが、このご時世多様性だ。

聞かなかったことにしよう。


事前に連絡されているクラスわけでは

Dクラスが 150名 5クラス

Cクラスが 98名 4クラス

そして特進クラスつまりは、Bランク以上のギフトを持つ生徒たち 6名のクラスわけだ。

俺と静香はこの特進クラスに入る。


静香はこの半年クエストにいそしみ、Cランククエストをなんと100回クリアした。

毎日のようにクエストをクリアし、時には日に二つのクエストをクリアしていた。

そして100回クエストを攻略したとき


ワールドクエスト

【クエストを最初に100回クリアする。】を達成した。


そして同時にポイントで発芽を行い、

Bランクギフト【戦乙女】を獲得していた。


この能力は、常時身体能力3倍という結構壊れギフトで

そして静香がもともと持つCランクギフト

【パラライズ】 有効打を与えると一定時間スタンするというギフトと合わせて

二つのギフトを持つこととなった。


これで俺が知っている中で二つのギフトを持つのは俺と静香だけとなる。


他の特進クラスの人もみなBランクギフトを持っているらしいが会ったことはない。

それぞれ各地方で発生した魔獣討伐に当たってくれていたらしい。


そして入学式が始まる


「では生徒会長並びに生徒副会長からの挨拶です。」


「はじめまして。

生徒会長の二菱静香です

本日はご入学おめでとうございます。

私含めこの希望の学園に入学し、国を守るという使命を与えられたこと光栄に思います。


もし何か学園生活で困ったことがあれば

私もしくは副会長に相談してください。

私たちは皆さんの味方です。


では皆さんの今後が光り輝くことを祈って入学の挨拶とさせていただきます。


では、続いて副会長どうぞ」


静香は無難な挨拶をすませ、マイクを剣也へ譲る。

会場では、あれって二菱グループの令嬢だよな?などというざわめきが起こるが

剣也が壇上に立った瞬間おさまる。


「はじめまして、副会長の御剣剣也です。」


「「うぉぉぉぉぉ!!」」


有名人の登場に会場がわく。

ついこないだまでただの学生だったのだ。

世界からも注目されるインフルエンサーの登場に興奮するのも仕方ない。


会場の興奮が収まり出した頃

剣也は静かに語りかける。自分が伝えたい思いを伝えるために。


「この学園は、皆さんを教育し、鍛錬する場として作られました。

この国を脅かす存在を倒すための戦士の養成所として。


僕はこの学園の生徒副会長として今この場に立ちます。

だから皆さんに心構えを話したい。僕がこの場に立つ意味を。」


ただの挨拶ではない雰囲気を感じ会場の生徒は

剣也の声を固唾をのんで耳を傾ける。


「ここに集まってくれた生徒たちは、まだ魔獣と戦うのが怖い人もいるでしょう。

戦う意味を見出せないものもいるでしょう。

命のやりとりだ。怖いのは当たり前。

僕も初めは怖かった。

何度も心が折れかけた。」


あの英雄が、あの猛々しいまでの感情をゴブリンキングに

見せていた少年が心が折れかけたこともある事実を話す。

どこか別次元の存在であるように思えた少年もまた自分たちと同じ学生だったのだと。


「でも、わかったんです。

もっと怖いことがあると。

戦う理由があると。


それは大切な人をあいつらに殺されること。

最愛の人たちを何もできずに殺されるのを見てるしかないことだと。」


生徒たちは想像する。

自分の守りたい人達を。そしてその人たちが魔獣に殺される想像を。


「僕たちは力を手に入れました。

分不相応かもしれない。

でも得てしまった。だから鍛える。磨く。高め合う。この学園で。


なぜなのか。

それは

来るべき時に、何もできない自分でないように

その時に大切な人たちを守れる力があるように。」


そして剣也は声を張る。

想いの強さを伝えるために。


「強くなりましょう。一緒に。

ただ震えてうずくまるしかない未来を変えるために!!

心の刃を研ぎましょう。

その日に刃を向けれるように!!


この学園で、力を合わせましょう。

今この国を救えるのは僕たちだけだと自覚して!!」


会場のボルテージは上がる。

どこか他人事と思っていた学生たち。

でも、変わる。 

彼の言葉で。

自分の両親、親友、恋人 その人たちを守れるのは自分だと。

今までのように国が守ってくれるわけではない。

自分たちだけなのだと。

大切な人たちを守れるのは、自分たちだけなのだと

はっきりと自覚した。


「頑張ろう! みんなで!

力を合わせて、魔獣を倒すぞ!!」


そして剣也は拳を上げる。


「「うぉぉぉぉ!!」」

生徒たちも合わせて拳を上げた。

彼らの瞳には炎が宿る。

剣也という聖火がみんなの心に火をともす。


そして剣也は一礼して壇上を後にした。


「あなたやっぱり政治家志望なの? それとも教祖でも目指す?」

静香が笑って聞く。


「え? なんで?」


「無自覚ならいいわ」

静香は剣也の資質に気づいている。

リーダーとしての資質に。

やっぱり彼が生徒会長のほうがよかったんじゃない? 

珍しく八雲の采配に誤りがあったと静香は思った。


そして入学式は生徒たちの心に火をつけ終了した。

彼らを戦士にしたのは、間違いなく剣也だった。


同じ言葉を静香が言っても変わらなかっただろう。

剣也だから、行動してきた剣也が言った言葉だからこそをみんなの心に響いた。


これが八雲が狙っていたことの一つ。

インフルエンサーとして、剣也の熱を感染させる。

無自覚にその役割を果たしたことを剣也は気づかない。


入学式を後にした二人は特進クラスへと向かう。

今思うと特別進学クラスという意味だが、進学は関係なくないかと思ったが

意味は通じるのでまぁいいか。とも思う。



そして特進クラスの扉をあげると、4人の戦士が待っていた。

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