おにぎり持って
- ★★★ Excellent!!!
- 辰井圭斗
ほんわかした話をほんわか書けるって才能だよなあと思っていて。だって、意外と難しくないですか、ほんわかを続けるの。割ともうテクニックとかではなく、資質の問題な気がするんですよね。
この作品、ほんわかがほぼ全編続きます。もうずっと読んでいたい。屋代さんがとにかく可愛い。真崎くんも感性とエピソードが素敵。
前半の最後“今日は屋代さんとふたりでピクニックなのだ。”はこっちまでワクワクしてしまいます。
最後のあたり、自堕落パートナーロボである屋代さんには『心』が無いという話になって、色々考えるところがありました。ぱっと読んだ時、「いいな」と思ったんです。本人にとっては深刻な問題かもしれないけど、そういう根源的な悩みというか葛藤が、案外暮らしの背骨だったりもするよねと。ほんわかしている分より一層。
それからしばらく経って、「あ、屋代さんはそういう実存的な悩みまで真崎くんに提供してくれるロボなんだ」と思ったんです。人間の心に実は必要な根源的な揺れまでも、自堕落パートナーロボ屋代さんはいつの間にか真崎くんにあげているような気がしました。ほんわかピクニックから「自堕落パートナーロボすごい」まで。具が楽しい作品でした。