―44― ご主人やらしー
てっきり、また〈属性付与〉が手に入ると思っていたが、冷静に考えてみれば、アイテム〈英明の結晶〉はランダムでスキルが一つ手に入るという効果だった。
だから、別の時間軸で手に入ったスキルと違ってもなんらおかしくなかった。
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スキル〈鑑定〉を獲得しました。
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目の前に獲得したスキルを見て、喜んでいいものなのか悩む。
確か、〈知恵の結晶〉で手に入るスキル一覧にも、〈鑑定〉はあった覚えがある。
ランクはDだったから、外れスキルってことになるんだろうか。
とはいえ、全く使い道がなかった〈属性付与〉よりは役に立つからいいような気もする。
色々考えても仕方がないので、とりあえず使ってみようかと思い、手に握っている〈黒い太刀〉に対して〈鑑定〉を使ってみた。
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必要レベルに達していないため〈鑑定〉不可。
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「……マジかよ」
『ご主人、なにぼやいてんのさ』
「お前を〈鑑定〉したかったのにできなかったから、少しいらついたんだよ」
『やーん、俺様を〈鑑定〉とか、ご主人やらしー』
「やらしいって、美少女が言って許されるセリフだろ」
『いやいや、俺様、人間になったら、それはそれは美しい美少女の姿をしているんだぜ』
ふっ、傀儡回が人間になったら美少女って、絶対あり得ないだろ。生意気な少年とかがいいところだ。
『ご主人、今、鼻で笑ったな!』
「そ、そんなことない……」
『そう言いつつ、含み笑いしてるんじゃないか! ふん、いいさ、本当に美少女になったとき、見返してやるんだから!』
「まぁ、楽しみにしておくよ」
実際、傀儡回が人間になったとき、どんな姿をしているのか楽しみではあるしな。
そんな会話をしつつ、俺は所持しているスキルポイントを確認する。
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所持スキルポイント:1320
〈挑発Lv1〉
レベルアップに必要な残りスキルポイント:10
〈剣術Lv3〉
レベルアップに必要な残りスキルポイント:3000
〈寄生剣
レベルアップに必要な残りスキルポイント:700
〈鑑定Lv1〉
レベルアップに必要な残りスキルポイント:10
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所持スキルポイント見返したら、けっこう余裕あるな。
〈寄生剣
だから、この際、〈挑発〉と〈鑑定〉にポイントを振ってしまおう。
だから、〈挑発〉と〈鑑定〉にそれぞれ110ポイントずつふって、レベル1からレベル3まで一気にあげてしまう。
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スキルポイントが使用されました。
レベルアップに必要な条件を達成しました。
スキルは〈鑑定〉レベルアップしました。
鑑定Lv1 ▶ 鑑定Lv3
スキルは〈挑発〉レベルアップしました。
挑発Lv1 ▶ 挑発Lv3
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よしっ、レベルがあがったことだし、これなら〈鑑定〉できるはず。
というわけで、改めて〈黒い太刀〉に対して、〈鑑定〉を使ってみる。
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〈黒い太刀〉
寄生剣傀儡回の形態の一つ。鋭い切れ味を持つ。
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「〈鑑定〉できたはいいが、知っていることしか書かれていないな」
これには、少しがっかり。
これなら、わざわざスキルポイントをふってレベル上げしなくてもよかったような。
ともかくこの部屋でやりたいことを済ませた俺は、隠し部屋から出る。
そして、ボスのいる部屋へと向かった。
◆
『ご主人、緊張してる?』
「まぁ、多少はな……」
ボス部屋を開けようってとき、傀儡回が話しかけてきた。
このダンジョンのボスは吸血鬼ユーディートでも倒せないほど、強いみたいだし、緊張しないといえば嘘になる。
『俺様が緊張ほぐしてあげようか?』
「そんなことできんのか?」
『ふふっ、俺様、意外と気が利くんだぜ』
「そっか、じゃあ、頼む」
『フレっ! フレっ! ご主人! がんばれ、がんばれ、ご主人!』
と、傀儡回は大きな声で叫んでいた。
「……それだけか?」
なんか物足りなかったので、そう呟く。
『いや、けっこう恥ずかしかったんだから、もっと褒めてくれないと!』
「はぁ」
『今、馬鹿にしたな、ご主人!』
「いや、馬鹿にしたわけじゃないが」
うん、本当に馬鹿にしたつもりはなかった。
「ありがとうな、傀儡回」
ひとまず、お礼を述べる。
『なにさ、改まってお礼だなんて』
「いや、本当に感謝してるんだよ」
ホント、傀儡回が協力してくれなければ、ここまで来ることはできなかった。
だから、心から感謝しているのは間違いない。
『感謝は後にとっといてよ。だって、本番はこれからでしょ」
「まぁ、それもそうか」
確かに、傀儡回の言うとおり、まだ勝てるかどうかかわらない段階で、感謝するのは早計といえそうだ。
だから、感謝の代わりにこう口にする。
「それじゃあ、頼むぞ、傀儡回」
『あぁ、任せといて』
返事を聞き届けた俺は、扉を押した。
さぁ、ダンジョンのボスとの初対面だ。
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