―24― なにが駄目だったんだ
「なにが駄目だったんだ……」
死に戻りした俺は反省していた。
ユーディートは「つまらない」と言って、俺のことを斬った。
つまり、もっとおもしろいことを言えばいいのだろうか。といっても、そんなこと全く思いつかないが。
ともかく、もう一度ユーディートの元に言ってみるか。
「それで、あなたを弟子にしてわたくしになんのメリットがあるんですか?」
再び、同じ質問をされる。
「メリットはないです。ですが、どうか俺を弟子にしてください」
メリットなんて提示できないと判断して、今度は誠意で訴えることにしてみる。
「話にならないですわね」
そう言われて、俺は殺された。
◆
それから俺は何度も吸血鬼ユーディートの元に出向いては殺された。
あるときは、
「それで、あなたを弟子にしてわたくしになんのメリットがあるんですか?」
と、言われたので、
「身のお世話をさせていただきます。買い物に掃除、食事の用意、なんでもできます。だから、弟子にしてください」
と、返したら、
「そういうの、別に必要と感じていませんわ」
と、言われて殺された。
また、あるときは、
「それで、あなたを弟子にしてわたくしになんのメリットがあるんですか?」
という質問に対して、
「力仕事なら任せてください! こう見えて、畑を耕してきたので、力なら自信があります!」
「力なら、わたくしのほうが上ですわ」
と、返されて殺された。
また、あるときは、
「話し相手とかできます。ほら、こんなところに住んでいると、他の人としゃべる機会がないので、寂しい思いをしているんじゃないかと」
「別に寂しくないですわ」
と言って、殺された。
それからは、俺は何度も挑戦しては殺されてた。彼女が一体、なにを求めているのか、俺には見当もつかない。
「それで、あなたを弟子にしてわたくしになんのメリットがあるんですか?」
「おもしろい物を見せることができます」
「おもしろいものですか……?」
そう言って、吸血鬼ユーディートは食いつく。
「はい、俺はある目的があります。復讐という」
「復讐ですか。実に甘美な響きですわね」
今まで一番感触がいいことに驚いていた。
内心、喜びながら、俺は自分の過去を説明する。
村人に迫害されてきたこと。最愛の人を亡くしたことを。冤罪によって、このダンジョンに追放されたこと。
ただ、スキル〈セーブ&リセット〉で何度も死に戻りしていることは伏せる。彼女のことを、そこまで信用するのはまだ早い。
「だから、俺はどうしても力をつけて、村人たちを目に物見せてやりたいんです。そのためにもユーディート様の弟子となって、力をつけたんいです」
そう言いながら、俺は頭を下げる。
「キヒヒッ、おもしろい、ですわね」
彼女は笑っていた。
「それで、あなたは具体的にどんな復讐を考えているんですか?」
「えっと……」
復讐することで頭がいっばいで、どんな方法を用いるかなんて考えたこともなかった。
「全員、殺します」
目の前の吸血鬼が一番喜びそうな答えを考えた上で口にする。
「どんな風に殺すんですか?」
「拷問の上、殺します。一番、惨い殺し方です。女子供関係ありません。一人残らず殺します。俺をこんな目に合わせたことを心の底から後悔させてやります」
「いいですわねぇ!」
彼女はニタニタと笑みを浮かべていた。
「あなたが、どうなるのか見届けたい欲がでてきましたわ」
「じゃあ!」
「まだ、喜ぶのは早いですわ。テストに合格すれば、弟子にしてあげますわ」
「テストですか。ありがとうごさいます!」
やっと、彼女が満足する答えを出すことができた。
どんなテストが待ち受けているかわからないが、この好機逃すわけにはいかないと俺は気合いをいれる。
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