都、美しく燃えて(六)

(前部は落丁のため、欠落)緑衣党にそのような陽動をかけさせて、青年[スザレ・マウロ]派を揺さぶった(※1)。



※1 青年[スザレ・マウロ]派を揺さぶった

 文章の前部が欠けているので、断定はできないが、他の史料を参照するに、ここでいう「陽動」は、サレがコステラ=デイラを放棄してラウザドへ向かうふりをしたのち、大きくかいして、セカヴァン平原に向かうそぶりを見せた、もしくはそのようなうわさを流したことを指すようだ。

 ハエルヌン・ブランクーレの二度目の南下を受けても、サレはコステラ=デイラの再防備には動かなかった。

 理由としては、もちろん、青年派との間で取り決めた約定の問題もあったが、それよりも、マウロが再防備したコステラ=デイラに籠ることを嫌ったブランクーレの意向があったのだろう。

 コステラ=デイラから、ハランシスク・スラザーラをラウザドに下向させた以上、サレが臨戦態勢に入っていたのはだれの目にもあきらかであったので、青年派を警戒させないためだったり、攻撃の口実を与えないためだったりという理由は、当てはまらないと考えられる。

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