第39話 エピローグ
――数年後、
大学を卒業した俺は、唯奈の希望もあってすぐに入籍した。
もちろん、俺が西島家へ婿入りし――
翌年には唯奈は妊娠していた。そして、そのさらに翌年、『そろそろ生まれるかなぁ』なんて話していたら、突然、リビングで唯奈が産気づいた。
「く、苦しい…… ゆ、優くん……」
西島家にはホームドクターがいる。
執事の早坂さんに知らせてホームドクターへ連絡を入れて貰い、すぐに来てくれるように要請する。
唯奈を寝室へ連れて行くと、召使の人たちがテキパキと準備を始めていた。
「優斗さま、ご安心ください。唯奈さまも、この家で生まれたのです」
余りに俺がオロオロせいか、執事の早坂さんが俺を落ち着かせてくれた。
しばらく、唯奈を励ましていると――
「お医者様が到着しました!」
そんな報告と共に、家の中をバタバタと人が動きだした。
「優斗さま、ティールームへご案内します。ここは奥様の戦場ゆえ……」
「分かりました。でもその前に一声だけかけさせてください」
額一杯に汗をかいて、苦しさを堪える唯奈に声を掛ける。
「頑張ってな。元気な赤ちゃんを頼む」
すると唯奈は苦しそうにしながら力強く頷いた。
もう、声も出せないのだろう。
邪魔者の俺は、足早にティールームへ下がった。
ティールームには、先にお母さまがやって来ていた。
「いよいよのようです」
そう告げると、
「あら、優斗さんは立ち会わないの?」
と、不思議そうにお母さまが言う。
最近の男性は、ほぼ妻の出産に付き合うらしいが、その後の話を聞いてみると、特に奥さん側から不評がの声が上がっているのが目につく。
それを知っていて、立ち会うなんて言う訳がない。
「男がいたら、気が散るんじゃないですか?」
苦笑いを浮かべながら、俺が応える。
「正解よ。立ち合い出産とかあるけど、女性にしてみたら邪魔でしかないわ。視界に入るだけでも邪魔…… そんな感じです」
「そうでしたか……」
お母さまと世間話をしながら、数時間が過ぎていく……
突然、ドアが開き早坂さんが迎えに来た。
「優斗さん、生まれました! すぐに唯奈様のもとへ行きましょう」
お母さまの表情が、歓喜に包まれる中――
立ち上がった俺も、結果が知りたくて早坂さんに質問した。
「男ですか? 女ですか?」
先頭を歩く早坂さんが――
「健康な女の子だそうです」
とだけ応えた。
「そうか、女の子か! 健康ならどっちでも良いさ」
分娩室代わりになった唯奈の部屋の前で暫く待たされ、入って良いとの声がかかる。
子供は健康で、お母さんになったばかりの唯奈に抱かれて鳴き声をあげていた。
「唯奈、ご苦労様」
「頑張ったよ、優くん」
「健康な女の子だって?」
「うん」
唯奈は微笑む。
いつもと違ってすっぴんだが、それでも可愛さは変わらない。
「な、名前…… 優くんがつけて」
「よしきた! じゃあ、この子の名前は…… 『亜夢』だ。どうかな?」
「あむ、亜夢…… うん、良い名前……」
「唯奈、ありがとう」
「うん」
二人家族が三人家族になった。
唯奈は、この先まだまだ増えると言う。
「楽しみだ」
俺はそう呟いて、唯奈の肩に手を触れたのだった。
――
メンテナンスモードに入ります。
誤字脱字、言い回し、省略した話の挿入など検討します。
その後、冷却期間を置いてアナザーエンド、リアルエンド、バッドエンドのいずれかに着手します。
※でも他に書きたい題材が出てきたら全部ナシ。
トゥルーエンド ~幼馴染に振られたら、モテ期が始まりました Q @quatrisc
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