冒険者になろう 3
「麺ってお金かかるんじゃないんですか?」
「いえ、この店でもかなり安い方ですが……」
キョトンとしてモモは答えた。麺は中々拾えない貴重な物だったため、好物ではあるが手持ちの金で食べられるのか心配だった。
なぜ麺は裏ダンジョンで中々拾えなかったのかと言うとハズレのがっかりアイテムだからなのだが……
「マジっすか! じゃあ俺はごの、ペペガグにします!」
それならばとモモも同じものを頼む事にし、テーブルに台座で固定されて置かれている水晶に手をかざす。
「それって、何ですか?」
「あぁ、これは手をかざすと対の水晶が音と共に光りだして合図を送れるのですよ」
モモが言った通り、先程の店員がやってきて「ご注文を承ります」と言った。モモがペペカグを2つと伝えるとその様子を不思議そうにムツヤは見守る。
「あの、言葉を伝えれば良いんだっだら直接話せるやつ使った方が良いんじゃないんですか?」
「いえいえ、そんな便利なものあるわけ……」
ふふっと笑顔でそう言ったモモの表情が最後の方は真顔になった。
あ、ムツヤ殿は持ってるなと察したのだ。
「そうよねームツヤ。全くこの世界は遅れてるわよねー?」
その声を聞いて二人は固まった。テーブル席には椅子が4つあり、モモとムツヤは向かい合って座っている。そのムツヤの隣の席にしれっとサズァンが座っていたのだ。
「さ、サズァン様!?」
「大声出さないでムツヤ、あなた達以外に私は見えてないから」
ムツヤは自分の口に手を当てる、ステレオタイプのムツヤの行動がサズァンは愛おしく思い目を細めた、なんてこの子は可愛いのかしらと。
「二人共黙って聞いてね。察しは付いていると思うけど、モモ? ムツヤは100km圏内だったら誰とでも話が出来る水晶を持ってるから」
やっぱりかとモモは思った。段々この感覚にも慣れてきた。
「しかも対の玉を相手が持っていなくても良いすぐれもの。私もうっかりしてたんだけど、あなたの村の村長にもムツヤの口止めよろしくね」
モモは黙って頷く。元よりこの街と村を往復している行商人のオークに手紙でも届けてもらおうとは考えていたのだが。
そういう事であれば善は急げと食事を終えたらどこか人目のつかない場所でムツヤの道具を使うことにする。
「あーもう魔力持たない! それじゃあバイバイムツヤ」
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