第038話 ぷぷぷっ。増えると思いましたか?
巨大猫と狼たちを連れて帰ってきた俺達。
『ウォンウォンウォンッ!?』
「ガオンッ!?」
拠点につくなり、モフモフたちは驚愕し、お互いに何やら鳴きあっている。
ソフィが言っている通り、ここの地盤が破壊され、畑ができていることや泉ができてて、大樹が生えていることに驚いているのだろうか。
実際はどうだかわからないが、本当にそうだとすればソフィの言っていることもあながち間違いじゃないということだ。
しばし、彼らは落ち着かなかった。
「よーし、お前たちよく来てくれた」
「ガオンッ」『ウォンッ』
モフモフが落ち着いたところで、俺が彼らに声をかけると、彼らは元気よく返事をした。
うんうん、一度にこれだけのモフモフが揃うなんて素晴らしいじゃないか。
俺の前には数十匹のモフモフがいる。今すぐ抱き着いてモフモフしたいところだ。
しかし、そういうのはやることをやってからやるものだろう。
俺はまず彼らを連れてきた理由を話すことにした。
「なぜお前たちを連れて帰ってきたかというと、お前たちには俺とソフィがいない間の留守番含め、この拠点を守ってもらいたいからだ。この拠点では農作物を育てているのだが、あの森から厄介な虫たちがここの大樹や野菜を狙ってやってくる。お前たちも見たと思うが、山と森の間に防壁を作り、ある程度の虫はそれで防げるだろうが、飛んでくる虫もいるので、放っておけば野菜や大樹が食われてしまう。だから、お前たちにはそいつらの駆除やこの無の大地内の巡回を頼む」
「ガオンッ」『ウォンッ』
どうやらきちんと俺の言っていることが伝わっているらしく、猫と狼は頷きながら返事をする。
猫と狼はとても頭がいいらしい。
俺たちが捜索して見つけ出した猫はそうでもなかった気がするんだが、看板猫だから特別頭良いのかもしれないな。それはそれで願ったり叶ったりだ。
「よーし、お前たちには名前を付ける。メスとオスに分かれるんだ」
「ガオンッ」『ウォンッ』
名前がないと不便なので、彼らには名前を付けることにする。
銀狼のオスには、リーダーっぽいのにはシルバという名前をつけ、それ以下はギン、ギンジ、ギンゾー、ギンヨン……といった形にし、メスはギンコ、ギンカ、オギン、ギンミなどといった感じにした。
「こいつの名前はベヒモスでいいのか?」
ただ、看板猫に関してよく分からなかったのでソフィに尋ねる。
「それは我をドラゴンと呼んでいるようなものだ。別の名前にせい」
「分かった」
どうやら看板猫は名前がベヒモスというわけじゃないらしいので、俺は少し考える。
茶色の縞々模様。メスの方に並んだからメスのようだ。可愛い感じの名前にしよう。
「よし、お前はチャチャだ。それでいいか?」
「ガオォオオオオンッ」
可愛い名前に反して泣き声はハスキーだが、どうやら喜んでいるようだ。
良かった。
「ちなみにそこの泉の水は飲み放題だ。食事は、当面はこんな感じの野菜になると思うが、大丈夫か?」
俺は泉を指し示した後で、彼らの前にソフィに野菜を出してもらって見せる。
「ガオンッ」『ウォンッ』
猫は分からないが、狼は肉食と書いてあった気がする。それでも大丈夫らしい。
ただ、チャチャは大きすぎて食事量が心配だ。
「お前はソフィみたいに人間になったり、ちいさくなったりできないのか?今は収穫量多くないし、そんなに食べさせられないんだが」
俺はチャチャに尋ねる。
「ガオンッ」
チャチャは光輝くとそのシルエットをみるみると小さくしていく。
俺はまさかと思って目を背けた。
「ナーン」
しかし、俺が思った通りの言葉は帰ってこなかった。恐る恐るその声の方に顔を向けると、そこに座っていたのは俺が見たことのある猫くらいに縮んだチャチャであった。
おお!!
大きいのも可愛いかったが、小さいのもまた可愛い。思わず抱きしめて撫でたくなる愛らしさだ。
「ニャッ!?」
というか抱きしめていつの間に頬ずりしてしまった。
チャチャは一瞬驚いて体を硬直したが、驚いただけのようで、すぐに体の力を抜いて俺に身を任せる。
光り輝いて縮んだからソフィと同じように真っ裸の人間になるかと思ったけど、そうはならなかった。
俺はホッと深く息を吐いて安堵する。
「そやつらなら対して食事を摂らんでも問題あるまい。我と同じように泉の水を飲んでいれば満足できるはずだ」
「そうなのか。でも、できれば満足した量を食べてほしいからな。早急に野菜の収穫量を上げたいところだ」
食事量を心配してのことだったが、どうやらそれほど気にしなくてもいいらしい。でも、俺の仕事を手伝ってくれるのだから食事くらいは満足できるものを食べてほしい。
やっぱり皆幸せのほうが俺が嬉しいからな。
「お主がそれでいいのなら、我は何も言うまい」
「ああ。心配してくれてありがとな」
ソフィが少し憮然とした態度で返事をするので、俺はちゃんと考えてくれるソフィに礼をいった。
「べ、別に心配などしておらぬ」
案の定と言うべきか、ソフィは顔をそらして頬を赤らめて否定した。
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