“天使”だなんて、ほんとうは嘘で、だれも傷つけない優しい存在だと、信じたかった
“天使”だなんて、ほんとうは嘘で、だれも傷つけない優しい存在だと、信じたかった。
古い書物に記された不気味な翼も、運命をとらえる無数の瞳も、彼にはない。
すらりと伸びた指先は、僕と同じかたちをしていて、器用に花をつみとった。
「僕に、くれるの」
「お前の睛と、同じ色をしている。美しいな」
2023/2/13
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