あれは、呪いよ。このサナトリウムを蝕む毒
いつかの夢で出会った少女の名は菫という。星あかりを散りばめた夜に似た黒髪が風に揺れる。彼女のさめた菫の瞳は、まっすぐに、月をみつめていた。
「あれは、呪いよ。このサナトリウムを蝕む毒」
「あんなに明るくて、きれいなのに」
「……見た目はね。でも、気をつけて。月の光に、呑まれないように」
2023/1/16
花ねむるサナトリウム
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