彼は、どこまでも愚かで、うつくしいいきものだった

彼は、どこまでも愚かで、うつくしいいきものだった。

あかい海に身を投げようとする影を、何度も、何度も、すくいあげた。無数の棺が並ぶ庭で、彼は花を育て始めた。壊れたこころで、ふ、と笑う。

「白い花が咲いたんだ。王子の装飾品にしよう。君も、手伝ってくれるかい」

「私の“手”が役に立つのなら」


2023/1/2

その星の名はクロリス

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