薔薇は、陽の光が似合うと思うの。きっと、誰よりもきれいだよ

「ねえ、もう飽きちゃった」

無邪気な声が静寂の夜を揺るがせた。金盞花の指先が夜天に浮かぶ宝石をなぞる。

「寝ても覚めても、お月さまばかり。ほんとうの“夜明け”を見たいな」

「無理に決まっているでしょう。私たちは、夜に咲く花よ」

「薔薇は、陽の光が似合うと思うの。きっと、誰よりもきれいだよ」


2022/12/20

花ねむるサナトリウム

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