見廻りの灯をかいくぐり、扉を叩いたのは少年の方だ

「どうしたの。そんな顔して」

ホットミルクに、はちみつをひとさじ。あまい香りがふわりと漂う。

「……別に」

少年は寝台に腰かけ、“弟”の横顔を眺めていた。課題に追われ、顔を合わせる暇もなかった。見廻りの灯をかいくぐり、扉を叩いたのは少年の方だ。

「僕も会いたかったよ。ひとりは、さびしいね」


2022/12/13

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