おれは、……ひとじゃないのに。どうして

爛れた傷が瘉えていく。治癒術をかけられたのは、はじめてだった。

「おれは、……ひとじゃないのに。どうして」

妖精の王は微笑みを浮かべ、何も言わなかった。まっしろな手の中で小瓶が転がる。

「冬の一番星を浄化した薬だよ。痛みがひどいときに飲みなさい」

「…………」

「君は、やさしい人の子だ」


2022/11/7

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