僕は、君の音が好き

夜は好きだ。

朝がくるまで、彼のそばにいられる。

昼の間もすれ違うことはあるけれど、僕は“他人のフリ”をしなければならない。

ごく稀に、にいさんが学舎を案内してくれる。雨の影響で、記憶のかけらがほんの少し崩れるみたい。

「ねえ、名前を呼んでもいい」

「俺の名前を」

「うん。僕は、君の音が好き」


2022/10/19

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