彼のいのちが尽きた日を、これほどまでに覚えているのに、僕には向き合うことも許されない

墓前に花をそえたのはいつのことだろう。

彼のいのちが尽きた日を、これほどまでに覚えているのに、僕には向き合うことも許されない。あの鳥籠で過ごした日々は、宝物のように胸の奥で輝いている。

(声が、ききたいなあ)

寝台にもぐりこんで他愛もない話をした。そっと触れた手は雪のように冷たかった。


2022/10/10

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