待受画面の名もなき海が、静かに揺れる

待受画面の名もなき海が、静かに揺れる。

通知を知らせる振動を細い指先が止めた。兄から譲り受けた端末機に、ひとつだけ残っていたアプリだ。

(……通知がたまっている)

真は月食堂通信を開き、未読の“お知らせ”を開いた。月の海を走る船のレプリカが展示されるという。

(……あいつが好きそうだな)


2022/10/2

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