僕は“本物”を見たことがないのに、其れを知っていた

月の破片が降ってくる。僕は“本物”を見たことがないのに、其れを知っていた。半壊した核が、淡い光に反応する。

「ここから、“夜”に行けるよ」

深い闇の底から声がする。なつかしい声。嗚呼、君は、其処に。

「……シリウス」

「僕を探してくれたんだね。この器には、核のかけらも残っていないのに」


2022/9/12

星満つるギムナジウム

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