深い傷を負った竜のそばで、少年が始まりの神話を口ずさむ

「ないているの」

やわらかな金の巻き毛が揺れる。聖衣をまとった少年が燭台をかざした。

「……私は、泣いてなど」

「雨がつよくなってきたみたい。今日は、ここにいようかな」

深い傷を負った竜のそばで、少年が始まりの神話を口ずさむ。

「ユエには、ないしょにしてあげる。……戻れないんでしょう」


2022/8/9

その星の名はクロリス

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